東京為替見通し=ドル円、神経質な動きも下値は限定か、本日から日銀会合

 昨日の海外市場でドル円は133円台で不安定な動き。ニューヨーク勢の入り際には133.94円まで上げたものの、米金融不安の高まりから133.02円まで急落。一巡後は133円後半まで持ち直す場面もあった。欧州時間から買い優勢だったユーロドルは1.1095ドルと約1年1カ月ぶりの高値を更新。ユーロ円が147.91円まで急反発後、147円台でもみ合った。

 本日の東京市場でドル円は昨日同様に133円台で神経質な値動きとなりそうだ。本日から明日にかけて日銀金融政策決定会合が開かれる。植田日銀総裁にとって就任後では初めての会合となる今回、前総裁の政策に沿い大規模な金融緩和継続が決定される見込み。一方、足もとで米金利の低下が一服していることもあり、日米金利差の観点から下値は限定的か。

 一部通信社が米大手金融機関のエコノミストの見方として、日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の正常化に踏み切る確率について「市場コンセンサスより高い」を報じている。3月の基調インフレが上昇したこと、YCC修正でも本邦国債への影響が限られていること、新体制スタートで改善がしやすいことなどがその理由。ただ、今回の会合のリスクシナリオとはしながらも、YCC柔軟化は夏までに実施される可能性とう指摘だ。

 欧州の金融機関も、6月または7月会合で日銀はYCC正常化に向けた方針を示すとみているところはあるようだ。調整する場合、ターゲット金利をこれまでの10年債から5年債に変更するとの予想も広がってきている。市場参加者(特に海外)が盛り上がりやすいのは、「異次元緩和の出口策シナリオ」、つまり本邦金利の上昇に対する思惑というのは相変わらずか。

 しかしながら新日銀総裁の植田氏は今週の衆院での質疑応答で、金融緩和継続の必要性、YCC堅持、年末に向けて物価低下の見通しなどを繰り返し述べていた。明日の定例記者会見でどの程度まで独自色を出すのか注目されるものの、経済学者出身(戦後初めての)の新総裁が投機筋を喜ばすような(つまり、相場をかく乱する)ことは言わないのでないか。

 なお、ニューヨーク引け後に米下院は、共和党のマッカーシー下院議長が推し進めてきた大幅な歳出削減を伴う連邦債務上限引き上げ法案を2票差で可決した。4人の共和党議員が反対票を投じたという。こちらに対し、時間外の米債券市場がどのような反応をするかも注視する必要があるだろう。可決前ではあるが、米国債1年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は上昇幅を拡大(債務不履行リスクへの警戒)している。

 また、本日はニューヨーク序盤に米国から1-3月期国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率2.0%)週間の失業関連指標が発表される。このところ米指標に相場は一喜一憂する展開が続いており、東京時間で動意が鈍った場合でも、夜に激しく上下する可能性には留意したい。

(小針)
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