NY為替見通し=中東情勢、米下院議長投票、FRB高官の発言に要注目か

 本日のNY為替市場のドル円は、中東の地政学リスクに警戒しながら、米下院議長の投票の行方、そして米連邦準備理事会(FRB)高官の発言を見極めていく展開が予想される。

 ドル円の150.16円までの上昇基調を支えてきた米10年債利回りの上昇が、中東の地政学リスクの高まりを受けた安全資産である米国債への資本逃避やFRB高官のハト派的な発言により、一服しつつある。

 これまで、タカ派のメスター米クリーブランド連銀総裁が、「ここもとの長期金利上昇が金融政策判断に影響を及ぼし得る」との見解を示し、タカ派のローガン米ダラス連銀総裁が「最近見られる米長期債利回りの急上昇について、金融当局による追加利上げの必要性を減らす可能性がある」との認識を示した。そして、ボスティック米アトランタ連銀総裁も、「これ以上の利上げが必要だとは思わない」と述べている。

 本日も、タカ派のウォラーFRB理事、ハト派のボスティック米アトランタ連銀総裁、ハト派のコリンズ米ボストン連銀総裁らの発言、そして、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月19-20日分)を見極めていくことになる。

 また、本日は次期下院議長の選出投票が行われる予定だが、1月と同様に過半数を獲得する候補が出るまで投票が繰り返されることになっている。イスラム組織ハマスの攻撃を受けたイスラエルへの支援は新議長選出までは決議できず、大統領選などに強い影響力を持つとされるユダヤ系有権者から共和党への圧力が強まる可能性が指摘されている。
 つなぎ予算が切れる11月17日以降は、新たな予算案が通過せず、感謝祭の季節に政府機関の閉鎖が現実味を帯びてくることで、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによる米国債格下げへの警戒感が高まることになる。

 経済指標では、明日の9月米消費者物価指数(CPI)の前哨戦として、9月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比1.6%)に注目しておきたい。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、10月3日の高値の150.16円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、10月3日の安値の147.43円。


(山下)
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