週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、インフレ指標に注目

◆豪ドル、CPIとPPIに注目
◆中東情勢の悪化懸念によるリスク回避の動きが重しに
◆ZAR、インフレ進行で利上げ期待も景気にはネガティブ要因

予想レンジ
豪ドル円 93.00-96.00円
南ア・ランド円 7.60-8.10円

10月23日週の展望
 豪ドルは引き続き神経質な動きが続くだろう。来週も今週同様に予断を許さないイスラエルの動向が最も注目されることに変わりはない。イスラエルはガザへの地上侵攻を目指しているが、欧米諸国からの説得で辛うじて踏みとどまっている。事態を複雑化させているのは、プーチン露大統領がパレスチナ寄りの姿勢を示し、中国も同様な動きを見せていること。中東情勢が欧米諸国と露中の代理戦争に陥りつつある。リスク回避の動きに敏感な豪ドルにとっては、中東情勢の悪化懸念が上値を抑える要因になっている。

 豪州の指標で来週最も注目されるのは、25日に発表される7-9月期消費者物価指数(CPI)。今月3日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨では、「インフレ率が依然として目標を大幅に上回っており、しばらくはその状態が予想される」と指摘されている。同議事録で「さらなる金利引き上げが必要かどうかは、今後のデータに依存する」とされたが、市場ではこのCPIと来月15日発表予定となっている同期の賃金指数次第との声が高い。CPI以外では、27日に卸売物価指数(PPI)も発表される。CPIとあわせて、豪ドルを動意付けさせるきっかけとなりそうだ。また、24日にはブロックRBA総裁の講演も予定されている。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限られそうだ。流動性が悪化していることもあり、今週はZARが売られるような状況下でも、まとまった買いが入るとZARは支えられた。今週発表された9月の南アCPIは前年比で予想を上振れ、インフレが再び上昇基調に戻っていることが確認された。11月の南アフリカ準備銀行(SARB)の会合では、利上げを予想する声が高まっており、利上げは短期的にはZAR買いになる。ただ、中長期的には景気への大きな足かせになり、南ア経済およびZARの売り要因にもなり得る。すでに、家計が高金利の悪影響を受け、8月の小売売上高も8カ月連続の減少となっている。国内の景気低迷は深刻でZARを深追いして買う地合いではないだろう。中東情勢が悪化した場合は、新興国通貨から資金が流出するリスクが高いこともZARにはネガティブな要因。また、南アの指標では来週26日に9月の卸売物価指数(PPI)が発表予定となっている。

10月16日週の回顧
 豪ドルは限られた値幅での取引となった。RBA議事要旨で利上げも選択肢だったことが判明すると強含む場面はあったが、中東情勢の泥沼化を嫌気したリスク回避の動きが重しになった。なお、9月の豪雇用統計は、失業率は予想より改善したものの、新規雇用者数は予想を下回った。内訳をみても、常勤雇用者数の減少を非常勤雇用者数の増加でどうにかカバーした状態。豪ドルの上値を抑えている。

 ZARも上値が抑えられた。週半ばにまとまったZAR買い・ドル売りが入ると、ZAR円も連れて8円を付ける場面があった。ただ、中東情勢の悪化によるリスク回避の動きが上値を抑えると7.82円まで弱含んだ。(了)
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