東京為替見通し=ドル円、引き続き本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に要警戒か
26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、アジア市場で150.78円まで上昇した後、政府・日銀による為替介入への警戒感から149.96円まで急落したことで、150円台での狭いレンジ取引に終始した。ユーロドルは1.0524ドルまで下落後、1.0565ドル付近まで反発した。ユーロ円は158.90円まで堅調に推移した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、引き続き本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に警戒していく展開となる。
昨日のドル円は年初来高値を更新したが、鈴木財務相は「今まで通りしっかり緊張感を持って動きを見ていく」と述べ、村井官房副長官は、「為替相場の過度な変動は望ましくない。政府として万全の対応を行う」と市場を牽制した。岸田首相は昨日の参院代表質問で、「日銀の金融政策と政府の物価高対策は矛盾しない」「為替介入は『貯蓄から投資へ』という政府の方針とは矛盾しない」と述べた。
3日のドル円の150.16円から147.43円まで急落は、本邦通貨当局による小規模のドル売り・円買い介入とされているが、昨日の150.78円から149.96円までの急落は、来週の日銀勘定の資金移動で確認することになる。
岸田政権が標榜している物価高の抑制のためには、輸入物価高の要因でもある円安を阻止する必要があると思われるが、これまでのところは昨年秋のようなドル売り・円買い介入は実施されていないことで、ドル高・円安がじりじりと進行している。
すなわち、岸田政権の物価抑制という方針にも関わらず、日銀はマイナス金利を維持して円安を助長し、財務省は円安を放置している構図となっている。
8時30分に発表される日本の10月の消費者物価指数(CPI)の先行指標となる10月東京都区部CPI(生鮮食料品除く総合)は、前年比+2.5%と予想されており、9月の同比+2.5%と変わらずと見込まれている。
9月の全国コアCPIは、前年比+2.8%と発表されており、8月の同比+3.1%から低下していた。しかしながら、10月24日に、2%の物価安定目標の実現を目指す日銀が公表した9月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」では、加重平均値の上昇率が前月に続いて過去最高水準を更新していた。すなわち、来週30-31日の日銀金融政策決定会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2023年度と24年度のコアCPIの前年度比上昇率の見通しが上方修正となる可能性を高めている。市場の予想では、2023年度が7月時点の2.5%から3.0%付近、2024年度が1.9%から2.0%以上に引き上げられると見込まれている。さらに、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)も、7月の1.0%への上限引き上げに続く再修正の可能性も警戒されている。
9時30分に発表される7-9月期豪生産者物価指数(PPI)では、25日に発表されたCPIのポジティブサプライズの再現に警戒することになる。しかしながら、ブロックRBA総裁は「CPIは予想の範囲内であり、利上げを正当化するかどうかなお検討中だ」と述べており、利上げ確率が70%程度まで低下している。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、引き続き本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に警戒していく展開となる。
昨日のドル円は年初来高値を更新したが、鈴木財務相は「今まで通りしっかり緊張感を持って動きを見ていく」と述べ、村井官房副長官は、「為替相場の過度な変動は望ましくない。政府として万全の対応を行う」と市場を牽制した。岸田首相は昨日の参院代表質問で、「日銀の金融政策と政府の物価高対策は矛盾しない」「為替介入は『貯蓄から投資へ』という政府の方針とは矛盾しない」と述べた。
3日のドル円の150.16円から147.43円まで急落は、本邦通貨当局による小規模のドル売り・円買い介入とされているが、昨日の150.78円から149.96円までの急落は、来週の日銀勘定の資金移動で確認することになる。
岸田政権が標榜している物価高の抑制のためには、輸入物価高の要因でもある円安を阻止する必要があると思われるが、これまでのところは昨年秋のようなドル売り・円買い介入は実施されていないことで、ドル高・円安がじりじりと進行している。
すなわち、岸田政権の物価抑制という方針にも関わらず、日銀はマイナス金利を維持して円安を助長し、財務省は円安を放置している構図となっている。
8時30分に発表される日本の10月の消費者物価指数(CPI)の先行指標となる10月東京都区部CPI(生鮮食料品除く総合)は、前年比+2.5%と予想されており、9月の同比+2.5%と変わらずと見込まれている。
9月の全国コアCPIは、前年比+2.8%と発表されており、8月の同比+3.1%から低下していた。しかしながら、10月24日に、2%の物価安定目標の実現を目指す日銀が公表した9月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」では、加重平均値の上昇率が前月に続いて過去最高水準を更新していた。すなわち、来週30-31日の日銀金融政策決定会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2023年度と24年度のコアCPIの前年度比上昇率の見通しが上方修正となる可能性を高めている。市場の予想では、2023年度が7月時点の2.5%から3.0%付近、2024年度が1.9%から2.0%以上に引き上げられると見込まれている。さらに、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)も、7月の1.0%への上限引き上げに続く再修正の可能性も警戒されている。
9時30分に発表される7-9月期豪生産者物価指数(PPI)では、25日に発表されたCPIのポジティブサプライズの再現に警戒することになる。しかしながら、ブロックRBA総裁は「CPIは予想の範囲内であり、利上げを正当化するかどうかなお検討中だ」と述べており、利上げ確率が70%程度まで低下している。
(山下)