株式明日の戦略-大幅安で31000円が遠のく、あすは植田総裁会見を前に買いは手控えか

 30日の日経平均は大幅反落。終値は294円安の30696円。先週末の米国では3指数がまちまちとなったが、ダウ平均の大幅安が嫌気され、寄り付きから300円を超える下落となった。場中は下げ幅を400円超に広げて30500円台に入ると押し目買いが入って下げ渋った。一方、持ち直しても30700円台に乗せると上値が重くなった。後場に入っても基調に大きな変化はなかったが、13時台半ばに下を試しに行ったところで30500円は割り込まなかったことから、14時以降はじりじりと値を戻した。大幅安ではあったものの、後場の高値圏で取引を終了した。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆6600億円。TOPIX浮動株比率見直しに伴うリバランス需要の発生日で商いは高水準となった。業種別では電気・ガスと電気機器の2業種のみがプラスで、海運の下げが限定的となった。一方、輸送用機器、医薬品、繊維などの下げが大きくなった。通期の利益見通しを引き上げた日清製粉グループ本社<2002.T>が急騰。半面、今期が最終黒字計画から一転、大幅な赤字になるとの見通しを提示した日野自動車<7205.T>がストップ安をつける場面もあるなど急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり206/値下がり1422。決算が好感されたキーエンスが8%高。信越化学は上期の大幅減益着地を受けて売りが先行したものの、切り返して4%を超える上昇となった。通期見通しを引き上げた日立が急伸。米国でナスダックが上昇したことを受けて、レーザーテックや東京エレクロトンなど半導体株が、地合いの悪い中でしっかりとした動きを見せた。

 一方、コマツが上方修正や増配を発表したにもかかわらず7%を超える下落。下方修正を発表したオムロンがストップ安となっており、トプコンも終値でのストップ安こそ回避したが、下方修正を受けてストップ安で張り付く時間が長かった。上期の営業赤字が計画比で拡大するとの見通しを示した住友化学が大幅安となり、傘下の住友ファーマにも警戒売りが波及。三井住友や三菱UFJなど銀行株が全般軟調となった。

 日経平均は週明けから大幅安。30500円は割り込なかったが値下がり銘柄数が多く、さえない地合いが続いた。あすは場中に日銀会合の結果を消化する。何らかの政策修正があった場合には、国内長期金利の上昇を呼び込んで株安を招く可能性が高い。今回は経済・物価情勢の展望に関しても公表予定。また、月末ということで、寄り前には9月の有効求人倍率や失業率など雇用関連指標も出てくる。金融政策が現状維持であったとしても、引け後の植田総裁会見を確認するまでは、腰の入った買いは期待しづらい。

 その点において、きょう大きく下げてしまったことはネガティブ。ここ数日は30500円近辺では下げ渋っているが、本日の米国株が大きく下げるなどして、あすギャップダウンスタートとなった場合には、あっさり30500円を割り込む展開も想定される。ただでさえ買い手控えムードが強まりやすい日に心理的節目を下回ってしまうと、そのことが売りを誘う要因となりやすい。連日で日々の振れ幅が大きくなっているが、あすは大崩れを回避できるかに注目したい。
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