東京為替見通し=日銀会合、YCC再修正は織り込み済みか?介入実績含め注目点多数

 海外市場では、ドル円は米長期金利の指標である米10年債利回りが4.91%台まで上昇すると円売り・ドル買いが先行し、一時149.85円と日通し高値を更新した。ただ、「日銀は明日の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正を議論」との日経新聞の報道が伝わると、一転円買い・ドル売りが優勢となり148.81円と日通し安値を更新した。ユーロドルはダウ平均が一時580ドル超上昇するなど、米国株相場が堅調に推移するとリスク・オンのドル売りが優勢となり、一時1.0625ドルと日通し高値を付けた。

 本日のドル円は、日銀政策決定会合の金融政策発表と植田日銀総裁の会見、そして外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)が注目となる。

 今回は日銀が年4回公表する展望レポートも公表される。7月の同レポートでは、23年度のコアCPIの前年度上昇率を、4月の1.8%から2.5%を上方修正した。日銀が24日に発表した9月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」では、日銀が注目している「刈り込み平均値」は7・8月の3.3%から3.4%まで上昇。また「加重平均値」は8月の1.8%を上回り2001年1月以降で最大となる2.0%まで上昇していることなどで、今回も上方修正へ期待が高い。もし今回23年度を上方修正した場合は6回目の修正となり、日銀のインフレ見通しがこれまで甘かったこととなる。

 もっとも、市場では展望レポートの上方修正は織り込んでいることで、注目は長短金利操作(イールドカーブコントロール=YCC)を修正するか否かになる。現在の長期金利の変動幅は±0.5%程度を撤廃、1.0%の利回りでの指値オペを引き上げる、など憶測が多く流れている。その中で、本日の日経新聞朝刊一面が「日銀、金利操作再修正へ」「長期、上限1%超柔軟に」と報じていることもあり、市場は1.0%を上回る金利上昇を容認することを織り込みつつあるか。

 仮に修正が入った場合は為替市場は、AI取引が反応し円買いに動きやすい。一方、修正がない場合には円安に反応するだろう。ただし、予想判断が難しいのはその後の動き。YCC修正の場合でも日銀が長期金利を低位に抑える政策は変わらず、日米金利差の溝は左程埋まらないとの声が多く、円買いにも限定的との声がある。一方、無修正の場合は為替介入への警戒感が強い。昨年9月22日の円買い介入は、日銀政策決定会合及び当時の黒田日銀総裁の会見への失望感から、市場が円売りに傾いたタイミングで介入を行ってきた。今回も同様に市場が円安に動いた場合には、待ち構えていたように介入を行う可能性もありそうだ。

 また、仮に日銀政策決定会合や植田日銀総裁の会見が無風に終わった場合でも、日本時間19時に発表される今月の介入実績の結果でも動意づく可能性があり、警戒を怠らないようにしたい。今月は一時円買い介入と噂される動きもあった。もし、介入が行われていた場合には、今後の介入継続を示唆することもあり円買いに動きやすいだろう。

 なお、ドル円以外では10月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表されることで、中国の景気動向が他通貨に影響を与えることには注意したい。また、中東情勢もイスラエルのネタニヤフ首相が停戦を拒否したことで、更なる戦火拡大やイランの動向を引き続き注視する必要があるだろう。


(松井)
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