株式明日の戦略-日銀会合を消化して3桁上昇、値固めが進み反転期待が高まる

 31日の日経平均は反発。終値は161円高の30858円。米国株は大幅高となったが、日本経済新聞が日銀の金融政策修正観測を報じたことから、強材料と弱材料が打ち消し合って、寄り付きは一桁の下落。前場では半導体株など主力グロース株の動きが弱く、概ね軟調に推移した。ただ、下げ幅を3桁に広げて30500円台に突入すると盛り返し、前場は40円程度の下落で終えた。

 後場が始まる直前に、日銀が金融政策を発表。長期金利の上限の「めど」を1%として、1%を超える上昇を容認する姿勢が示された。事前の観測に準ずる内容が出てきたことで下値不安が和らぎ、後場は上昇スタート。押したところでは下げ渋った前場とは逆に、上げ幅を広げてくると上値が抑えられた。ただ、高いところでは200円超上昇して31000円に接近する場面もあるなど、概ね堅調に推移。値上がりに転じる銘柄も増加する中、終盤にかけて強含み、3桁の上昇で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆6700億円。業種別では保険、水産・農林、食料品などが大幅上昇。下落は海運、電気機器、電気・ガスの3業種のみとなった。アンリツ<6754.T>がストップ高。通期見通しを下方修正したものの、直近3カ月では利益をしっかり積み増していたこともあって、悪材料が出尽くしたと受け止められた。半面、修正した通期の見通しが失望を誘った商船三井<9104.T>が後場マイナス転換から下げ幅を拡大。日本郵船<9101.T>や川崎汽船<9107.T>など同業にも売りが波及した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1418/値下がり222。日銀の金融政策修正で国内金利上昇に対する期待が高まり、三菱UFJが大幅上昇。第一生命やT&Dなど保険株や、じもとHDや島根銀行など地銀株に強い買いが入った。その一方で、日銀が長期金利を安定させてくれることへの期待から、結果発表を受けた後場には三井不動産や三菱地所など不動産株の動きが良くなった。通期見通しや中期経営計画を上方修正したOLCが、一時下げに転じるなど利食い売りをこなしながらもプラスで終了。上方修正を発表した東洋水産や特殊陶が大幅高となり、明電舎が16.3%高と値を飛ばした。

 一方、国内金利上昇への警戒および、米国で半導体株のオン・セミコンダクターが急落したことなどを嫌気して、アドバンテスト、ディスコ、ルネサスなどが大幅安。下方修正を発表したパナソニックHが9%近い下落となった。関西電力が上方修正を発表しても大幅安となり、北陸電力や東北電力など同業の多くが連れ安。上期は大幅増益となったものの、市場の期待には届かなかったマクニカHDが15.1%安と急落した。

 日経平均は前場と後場で大きく雰囲気が変わった。日経新聞で大々的に政策修正観測が出てきたことから、前場が終わってすぐに会合の結果が出てくるかと思われたが、出てきたのは後場のスタート直前。ただ、結果的には絶妙のタイミングとなり、日銀マジック的に株価が反転した。仮に、観測記事が出ていない状態で後場のスタート直前に今回の発表が出てきたとしたら、「日銀が政策を再修正」とのヘッドラインに振り回されて、後場はリスク回避の売りに押されていた可能性もある。その意味ではマーケットが日銀の手のひらで転がされていたような1日でもあった。

 ドル円は若干円高に振れた後に戻しており、足元では再び150円台に乗せている。円安なら大歓迎という訳ではないが、日銀が国内金利の上昇を容認する姿勢を示したにもかかわらず、為替が大きく円高に振れていない点は日本株を見る上では安心材料となる。今週はもう一つFOMC(10/31~11/1)が注目イベントになるが、30日の米国株は大幅高となった。ここで米国の長期金利に上昇一服感が出てくるようなら、地合いが一気にリスクオンに傾いても不思議はない。日経平均はきょうも安値(30552円)では30500円台に突入したものの、30500円は割り込まなかった。下値に関しては固まりつつある。あすから11月相場に突入するが、月替わりのタイミングで安値圏を脱出できるかに注目したい。
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