株式明日の戦略-売りをこなして大幅高、日銀会合に対する警戒も後退か

 27日の日経平均は3日ぶり大幅反発。終値は222円高の32891円。FOMCを通過して為替が円高に振れたことが嫌気され、寄り付きは3桁の下落。ただ、節目の32500円に迫ったところで、これを割り込むことなく切り返した。減益決算を発表して売り気配スタートとなったアドバンテスト<6857.T>が寄った後は落ち着いた動きを見せたことも安心材料となり、指数はほどなくプラス圏に浮上。前場では上げ幅を広げたところでいったん上値が抑えられたが、後場に入ると上方向に勢いがついた。主力銘柄が上昇をけん引して上げ幅を3桁に拡大。32900円台に乗せてくると買い一巡感が出てきたが、萎むことはなく高値圏でのもみ合いが続き、200円を超える上昇で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆2200億円。業種別では電気・ガス、保険、その他製品などが強い上昇。下落は輸送用機器、建設、ガラス・土石の3業種のみとなった。1Qが大幅な増益となった東邦ガス<9533.T>が急伸。半面、1Qが最終赤字となったトプコン<7732.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1126/値下がり621。ディスコや東京エレクトロンなど半導体株の一角が大幅上昇。1Qの利益が前年同期比で倍増したカプコンが15.1%高となり、全市場の売買代金ランキングトップ10入りした。ゲームでは証券会社が目標株価を引き上げたバンナムHDにも強い動きが見られた。ガス株の好決算に刺激されて、東電HD、関西電力、北海道電力など電力株が軒並み高。1Qが大幅高となり、創立40周年の記念配当実施も発表したJFEシステムズが急伸した。

 一方、1Q大幅減益のアドバンテストが、安寄り後は戻したものの1.6%安。米金利の低下が円高を促したことからトヨタやホンダなど自動車株が売られており、1Qは大幅増益も目先の材料出尽くし感が強まった日産自動車が3%近い下落となった。決算が失望材料となった日東電工やキヤノン電子が大幅安。通期の利益見通しを引き下げたサイバーエージェントが10.7%安となり、年初来安値を更新した。

 日経平均は大幅高。意外高の感はあるが、FOMCを通過して米国マーケットが荒れなかったことはグローバル市場にポジティブな話で、日本株にも恩恵はあって良い。この先に利上げがあるかどうかはデータ次第ということで、次回のFOMC(9/19~20)がどうなるかについては、恐らく8月末のジャクソンホール会合あたりでコンセンサスが固まることになるだろう。本日、欧州ではECB理事会が開催されるが、これを無難に消化できれば、当面は米国の長期金利が株式市場をかく乱する場面が減ってくると思われる。

 国内ではあす、日銀会合の結果が公表される。きょうの日経平均の大幅高は政策修正なしを前のめりで織り込んだ動きのようにも見えるが、今回は直前まで何かあるかもしれないという雰囲気が漂っているため、現状維持なら改めて市場は好感する可能性が高い。きょうの上昇で日経平均も25日線(32754円、27日時点)を超えてきた。今週は上値が重い印象はあるものの、3桁上昇が2営業日、小幅安が2営業日で水準は切り上がっている。33000円台を回復するような動きが見られるかに注目したい。
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