株式明日の戦略-日銀への警戒が後退して大幅高、円安が日本株の追い風に

 24日の日経平均は3日ぶり大幅反発。終値は396円高の32700円。21日の米国株は小動きであったが、先週末に報道から日銀の金融政策修正はないとの見方が強まり、為替が大きく円安に振れたことが好感されて、寄り付きから300円を超える上昇となった。金融株は嫌われた一方、他の多くの銘柄には買いが入り、ほぼ全面高の展開。上方修正を発表した東京製鉄<5423.T>がストップ高まで買われたこともリスク選好ムードを高めた。場中は動意が乏しく、32700円台に乗せると伸び悩んだものの、戻り売りが手控えられたことで高値圏を維持。前引けや大引けに強含む動きが見られ、32700円を上回って取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆9700億円と3兆円に届かず。業種別では鉄鋼、パルプ・紙、輸送用機器などが上昇しており、下落は銀行、保険、海運の3業種のみとなった。自己株取得を発表した技研製作所<6289.T>が大幅上昇。半面、上期が大幅な減益となったB-R サーティワン アイスクリーム<2268.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1501/値下がり279。決算が好感された東京製鉄のストップ高を受けて、日本製鉄やJFEHDなど鉄鋼株が大幅上昇。東京製鉄と同じ電炉の共英製鋼や合同製鉄が特に上に値幅が出た。円安進行を受けて日産自動車やマツダなど自動車株が軒並み高。決算を発表した三菱自動車が5%近い上昇となった。直近で売り込まれていたレーザーテックやアドバンテストなど半導体株も大幅上昇。金利上昇への警戒が後退したことから、REIT指数が年初来高値(終値)を更新した。

 一方、今回の日銀会合で金融政策の修正はないとの見方が強まったことから、三菱UFJや三井住友など銀行株が軟調。第一生命やSOMPOなど保険株の一角も売りに押された。川崎汽船や日本郵船など海運株は先週強かったことで、きょうは利益確定売りが優勢。電通国際情報サービスは上期の見通しを上方修正したものの、引き上げ幅が物足りないと受け止められて5%を超える下落となった。

 本日グロース市場に上場したトライトは公開価格割れスタートとなり、初値天井で安値引けと厳しい出足となった。

 日経平均は大幅高。物色動向をみても、買われた理由としては日銀の金融政策修正に対する警戒が後退したということで間違いない。言い換えれば、先週までは修正に対する警戒が根強かったということになる。きょう大幅高となったからといって現状維持が確定したと考えるのは早計。ただ、もし日銀が政策を修正するのであれば、きょうの株高をけん制する必要が出てくるため、事前にメディアを通じて観測報道が出てくるように仕向けると思われる。そういったニュースが出てこなければ、今回は修正なしと考えて良いだろう。

 為替市場では円高が一服して円安に振れている。FRBが利上げを実施して日銀が現状維持であれば、金融政策のスタンスの違いから円安が進みやすくなる。国内は決算発表がこれから本格化する。締めた4-6月では円安が業績に貢献した企業も多いと思われることから、円安は日本株の上昇を強力に後押しする可能性が高い。ドル円チャートをみると、25日線が142円近辺に位置している。これを明確に上回ってくるようであれば、円安・株高の好循環が発生する展開が期待できる。
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