株式明日の戦略-3日続伸で週間でも大幅高、来週は個別の売買が盛り上がる

 2日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は348円高の31949円。FOMCでは大方の予想通り政策金利は据え置きとなり、米国の10年債利回りは大きく低下。米国株にも強い動きが見られたことから、400円近く上昇して始まった。開始早々には節目の32000円を超えてきたが、いったんの到達感も出てきたことから、買い一巡後は伸び悩んだ。ただ、萎んでも31900円を割り込んだところでは盛り返しており、概ね高い水準をキープ。終値では32000円を下回ったものの、300円を超える上昇で取引を終えた。来週6日から「東証グロース市場250指数」に名称が変更となる東証マザーズ指数は、米金利低下に強い反応を示して3.4%高と大きく上昇。高値引けとなった。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆5700億円。業種別ではサービス、電気・ガス、空運などが上昇した一方、鉄鋼、その他金融、パルプ・紙などが下落した。通期の利益見通し引き上げや増配、自己株取得を発表したダイセル<4202.T>が後場急騰。半面、三菱商事<8058.T>は1:3の株式分割、増配、通期見通しの引き上げを発表したが、引き上げた通期の見通しが市場の期待に届かず、後場に入って大きく値を崩した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり882/値下がり722。米長期金利の低下を受けて、ディスコなど半導体株が大幅上昇。前日にリリースで急落したアドバンテストやソシオネクストに強い買いが入った。マザーズ指数が大幅高となる中、弁護士ドットコム、フリー、ビジョナルなどグロース市場の人気銘柄が買いを集めた。決算を材料にサイバーエージェントやぐるなびが急伸。京セラは下方修正がネガティブ視されず5%を超える上昇となった。ワコムやアンリツなど、直近で跳ねた銘柄の一角に強い動きが見られた。

 半面、米金利低下で物色の変化も意識される中、これまで追い風を受けていた銘柄には、決算で手じまいとみられるような動きも散見された。日本製鉄が上方修正を受けても3%を超える下落となり、JFEHDや神戸鋼など鉄鋼株の多くに売りが波及。SUBARUは上方修正や増配が好感されず決算発表後にマイナス転換し、三菱自動車やマツダも後場に入って下げ基調を強めた。上期が市場の期待に届かなかったオリックスや下方修正を発表したアステラスが大幅安。米化粧品大手のエスティ・ローダーが決算を受けて急落したことから、資生堂が警戒売りに押された。

 日経平均は連日の大幅高。ローソク足では陰線を形成したが、寄り付きからかなり上に振れただけに場中に伸び悩むのは仕方ない。終値(31949円)では25日線(31451円、2日時点、以下同じ)を大きく上回っており、この25日線をサポートとして上を試しに行けるかが来週の焦点となる。

 FOMCを受けて米10年債利回りは大きく低下した。これが大きなトレンドの変化なのか、一時的な反応なのかを来週以降は見極めていく必要がある。米金利が低下すれば半導体株などグロース株には追い風となるが、金融株には逆風となる。金利低下時には商品価格も下落することが多く、日米金利差が縮小するとの見方が強まれば円安にはブレーキがかかる展開も想定される。上述のように、きょうは鉄鋼や自動車などで「この地合いとこの決算で売られる?」といった動きがあった。トレンドが変化するのであれば、その流れをしっかりつかんでおかないと、指数は上がっても保有している株が上がってこないといったことが起こりうる。来週のセクター動向には要注目だ。


【来週の見通し】
 堅調か。海外は目立った材料に乏しく、国内では決算発表が多い。リリースを手がかりに日々個別物色が盛り上がると見込まれる。任天堂、ソニーG、ソフトバンクGなどが中でも注目を集める。決算を消化するのは翌週となるが、金曜10日には東京エレクロトンの発表が予定されており、半導体株の売買も活況となりそうだ。日経平均は今週、日銀会合やFOMCを消化して大きく上昇した。その手前では値固めが進展しており、投資家のセンチメントは大きく改善したと思われる。商いの増加とリスク選好ムードの高まりが期待できる中、下げづらく上げやすい好循環が続くと予想する。
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