ロンドン為替見通し=米インフレ指標発表前までは、英CPIや欧州鉱工業生産に注目

 本日の欧州時間も昨日同様に、欧州の経済指標へ敏感に反応することになりそうだ。特に昨日は欧州の経済指標が強含んだ半面、米経済指標(10月消費者物価指数・CPI)が予想比を下振れたことなどで、欧州の指標が強い結果となった場合が市場の反応を敏感にさせるだろう。

 英国からは、10月のCPIが発表される。8・9月はともに前年比で+6.7%となったCPIだが10月は+4.8%まで低下すると予想されている。また、コア指数も8月+6.2%、9月+6.1%からさらに低下し+5.8%予想となっている。エネルギー価格の下落がインフレ減速予想の主要因で、英中銀(BOE)チーフエコノミストであるピル金融政策委員会(MPC)委員も「5%割れまで急低下する」との予想を立てている。市場予想通りインフレが落ち着いた場合はポンドの重しになるだろうが、昨日発表された9月の平均賃金が予想を上回ったように、賃金の伸びが寄与しインフレ圧力が弱まらなかった場合は、米連邦準備理事会(FRB)の金利引き上げ打ち止め感とBOEの金融政策の方向性の違いで、ポンドがさらに上値をトライする可能性がありそうだ。

 ユーロ圏からは複数の経済指標が発表されるが、9月の鉱工業生産に注目したい。9月は前月比・前年比ともにマイナス予想だが、マイナス幅が大きくない場合にはユーロが強含みそうだ。昨日発表されたドイツのZEW景況感指数が7カ月ぶりにプラスになり、ユーロの支えとなったようにポジティブサプライズへの反応が大きくなるだろう。

 なお、米国勢参入後には10月の米卸売物価指数(PPI)が発表される。昨日は米国のインフレ指標で相場が大きく動いたことで、欧州の経済指標で動意が薄い場合も、米指標で再び乱高下になることが予想される。


・想定レンジ上限
 ポンドドル:昨日200日移動平均線、日足一目均衡表・転換線や雲上限など、重要とされるポイントを超えたため、目立ったチャートポイントはないが現時点では売りが散見される1.2600ドル近辺か。
 ユーロドル:8月30日高値1.0945ドル。

・想定レンジ下限
 ポンドドル:200日移動平均線や日足一目均衡表・雲上限が位置する1.2440ドル。大幅下落となった場合は昨日米CPIが発表される前の高値近辺1.2310ドル。
 ユーロドル:200日移動平均線1.0804ドル。

(松井)
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