ロンドン為替見通し=欧米金融政策の方向性が欧州通貨に与える影響に留意

 ロンドンタイムは、独消費者物価指数(CPI)が発表となる。だが、米金利動向をにらみつつ、欧米金融政策の方向性が欧州通貨など為替にどのような影響を与えるか注視する展開になりそうだ。

 序盤に9月独CPI改定値が発表予定。しかし改定値の注目度は速報値に劣る。事前予想は速報値と変わらずの内容。為替の反応は修正幅次第ではある。だが、低調だった速報値への反応は鈍かった。速報値は前年比+4.5%と、市場予想の+4.6%を下回り前月の6.4%上昇から大きく失速。ロシアによるウクライナ全面侵攻開始以降で最低水準を付けている。独経済を大きく圧迫してきた高インフレの収束を示唆。それでもユーロの動きは限定的だった。改定値を受けた大きな動意も期待しにくい。

 引き続き米金利動向を反映したドル相場の上下にユーロは振らされやすいか。昨日はボスティック米アトランタ連銀総裁が「これ以上の利上げは必要ないと考える」などと述べた。同総裁は利下げ予想の根強い来年2024年の連邦公開市場委員会(FOMC)における金融政策決定の投票メンバー。前日に複数の米連邦準備理事会(FRB)高官によるハト派な発言で米金利が低下した地合いを市場は引きずった。

 一方で本日の東京早朝にデイリー米サンフランシスコ連銀総裁は「非住宅サービスインフレのさらなる改善が必要」「インフレは依然高く、やるべきことはまだある」と述べた。タカ派な内容へ言及している。同総裁も2024年のFOMC投票権を持つ。低下方向へ転じつつあった米金利動向の持ち直しを誘う可能性もある。米金利水準が切り上がり、足もとで底堅い欧州通貨が重い動きとなることも警戒される。

 金融政策関連ではクノット・オランダ中銀総裁、やデコス・スペイン中銀総裁といった欧州中央銀行(ECB)高官の講演内容も注目。クノット総裁は9月14日のECB理事会以前に「市場は9月利上げの確率を過小評価」としてタカ派な面をのぞかせた。しかし同理事会で利上げ決定後は「次回理事会での利上げを予想せず」「現在の金利に満足している」と発言。デコス・スペイン中銀総裁は「各国政府はエネルギー支援を後退させるべき」と、それぞれインフレの落ち着きを前提とした見解を示している。

 米欧金融政策のテンションの差異を注視したい。ともにハト派な内容が目立ち始めてきた金融政策の方向性に注目した売買や巻き戻しの動きがユーロの動向を左右しそうだ。


想定レンジ上限
・ユーロドル:9月20日高値1.0737ドル。

想定レンジ下限
・ユーロドル:6日安値1.0483ドル。

(関口)
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