週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、CPIに振らされる展開
◆ポンド、英金利先安観が重しに
◆リスクセンチメントの強弱の見定めが必要
◆加ドル、10月CPIに振らされる展開か
予想レンジ
ポンド円 183.50-189.50円
加ドル円 107.00-111.00円
11月20日週の展望
ポンドは英インフレ鈍化を受けた英金利先安観の強まりによる上値の重さと、米インフレ減速に端を発したリスク・オンの流れの綱引き状態となりそうだ。
14日発表の10月消費者物価指数(CPI)は前年比4.6%となった。9月分6.7%からの大幅鈍化は、既に英中銀チーフエコノミスト・ピルMPC(金融政策委員会)委員が5%割れを示唆していたためサプライズではない。ただ、市場予想の4.8%さえも下回ったことは、英中銀(BOE)による金融引き締めの打ち止めだけでなく、来年以降の政策金利引き下げ幅拡大の思惑を強めた。CPIの結果を受けて、短期金融市場は来年3回の0.25%利下げを織り込んでいる。
一方、中銀がインフレ目標とする2%とは距離があり、ベイリーBOE総裁は金融緩和について「時期尚早である」とキッパリと否定している。一時は市場の利下げ観測を否定しなかったピル中銀チーフエコノミストも、「政策金利の維持が重要だ」と総裁に口調を合わせてきた。金融当局の懸念材料は、賃金上昇率が依然として高過ぎること。ボーナスを除いた7-9月期平均賃金は前年比7.7%と過去2四半期を下回ったものの、減速は小幅に留まった。今後の金融政策を巡り、市場の思惑と当局との駆け引きが続くことになりそうだ。
また、今週は米国の10月インフレ指標が想定より弱かったことを受け、米金融引き締めの長期化懸念が大きく後退し、リスク・オン地合いが強まった。円売りやドル売りが優勢となる状況はポンドにとってポジティブ要因。もちろん相場の行き過ぎには注意しながらの取引とはなるだろうし、ドル円の水準次第では本邦金融当局による円買い介入にも警戒が必要となる。加ドルに対しても同様だろう。
加ドルは10月CPIの結果に振らされる展開となりそうだ。カナダ中銀(BOC)の12月会合の前としては最後の主要インフレ指標となる。12月1日には11月の雇用統計が発表されるものの、今回のCPIが金融政策に与える影響は大きいだろう。前回のBOC会合では、追加利上げの可能性を指摘する声も出ていたなか、2会合連続の据え置きが決定された。今週の米国に続き、加インフレが弱めの結果だった場合には、カナダ金利の低下圧力が増すことになる。加ドルの買いづらさに繋がりそうだ。
11月13日週の回顧
ポンドは対円で184円後半から年初来高値となる188円前半まで上昇。米金利の先安観を背景に株式市場が堅調となり、クロス円はリスク・オンの円売りが優勢となった。米金利低下を受けて、対ドルも1.22ドル台から1.25ドルまで上値を伸ばした。ただ、その後は英インフレ指標の予想比下振れが重しとなり、対円・対ドルともに伸び悩んでいる。
加ドルは対円で9月末以来の高値となる110.60円台まで強含み。対ドルでも1.36加ドル半ばまで加ドル高に振れた。もっとも、その後は原油安に引きずられて戻り売りが進んでいる。(了)
◆リスクセンチメントの強弱の見定めが必要
◆加ドル、10月CPIに振らされる展開か
予想レンジ
ポンド円 183.50-189.50円
加ドル円 107.00-111.00円
11月20日週の展望
ポンドは英インフレ鈍化を受けた英金利先安観の強まりによる上値の重さと、米インフレ減速に端を発したリスク・オンの流れの綱引き状態となりそうだ。
14日発表の10月消費者物価指数(CPI)は前年比4.6%となった。9月分6.7%からの大幅鈍化は、既に英中銀チーフエコノミスト・ピルMPC(金融政策委員会)委員が5%割れを示唆していたためサプライズではない。ただ、市場予想の4.8%さえも下回ったことは、英中銀(BOE)による金融引き締めの打ち止めだけでなく、来年以降の政策金利引き下げ幅拡大の思惑を強めた。CPIの結果を受けて、短期金融市場は来年3回の0.25%利下げを織り込んでいる。
一方、中銀がインフレ目標とする2%とは距離があり、ベイリーBOE総裁は金融緩和について「時期尚早である」とキッパリと否定している。一時は市場の利下げ観測を否定しなかったピル中銀チーフエコノミストも、「政策金利の維持が重要だ」と総裁に口調を合わせてきた。金融当局の懸念材料は、賃金上昇率が依然として高過ぎること。ボーナスを除いた7-9月期平均賃金は前年比7.7%と過去2四半期を下回ったものの、減速は小幅に留まった。今後の金融政策を巡り、市場の思惑と当局との駆け引きが続くことになりそうだ。
また、今週は米国の10月インフレ指標が想定より弱かったことを受け、米金融引き締めの長期化懸念が大きく後退し、リスク・オン地合いが強まった。円売りやドル売りが優勢となる状況はポンドにとってポジティブ要因。もちろん相場の行き過ぎには注意しながらの取引とはなるだろうし、ドル円の水準次第では本邦金融当局による円買い介入にも警戒が必要となる。加ドルに対しても同様だろう。
加ドルは10月CPIの結果に振らされる展開となりそうだ。カナダ中銀(BOC)の12月会合の前としては最後の主要インフレ指標となる。12月1日には11月の雇用統計が発表されるものの、今回のCPIが金融政策に与える影響は大きいだろう。前回のBOC会合では、追加利上げの可能性を指摘する声も出ていたなか、2会合連続の据え置きが決定された。今週の米国に続き、加インフレが弱めの結果だった場合には、カナダ金利の低下圧力が増すことになる。加ドルの買いづらさに繋がりそうだ。
11月13日週の回顧
ポンドは対円で184円後半から年初来高値となる188円前半まで上昇。米金利の先安観を背景に株式市場が堅調となり、クロス円はリスク・オンの円売りが優勢となった。米金利低下を受けて、対ドルも1.22ドル台から1.25ドルまで上値を伸ばした。ただ、その後は英インフレ指標の予想比下振れが重しとなり、対円・対ドルともに伸び悩んでいる。
加ドルは対円で9月末以来の高値となる110.60円台まで強含み。対ドルでも1.36加ドル半ばまで加ドル高に振れた。もっとも、その後は原油安に引きずられて戻り売りが進んでいる。(了)