週間為替展望(ポンド/加ドル)- ポンド、雇用・物価データに注目

◆対円では、介入警戒感も絡んだドル円の動きがポイント
◆ポンド、9月雇用・物価データに注目
◆加ドル、原油相場の動向と9月CPIに警戒

予想レンジ
ポンド円 179.00-185.00円
加ドル円 107.50-111.50円

10月16日週の展望
 ドル高・円安の流れは変わらず、クロス円にとっては介入警戒感も絡んだドル円の動きが来週もポイントになりそうだ。最近の英経済指標は強弱まちまちの結果が続いているが、来週は9月の雇用・物価データの発表が予定されている。8月の雇用データでは、賃金の伸びが高水準を維持したものの、8月消費者物価指数(CPI)は予想外に7月から伸びが鈍化。イングランド銀行(英中銀、BOE)は9月会合で約2年ぶりに利上げを見送った。市場ではBOEがリセッションを回避するため近い将来に引き締め方針を反転させるとの見方が強まった。

 ただ、英国のインフレ率は2022年10月の11.1%をピークに緩和傾向にあるが、依然として他の主要国に比べ高い水準にある。BOEも9月会合での金利据え置きは「利上げの一時停止に過ぎず、インフレ率が予想通りに低下しなければ対応する」と示唆した。来週の雇用・物価データ次第では追加利上げ観測が強まる可能性がある。国際通貨基金(IMF)は、「BOEは少なくともあと1回の利上げに踏み切り、来年の大半を通じてその水準を維持する必要がある」との見解を示し、近く利下げを開始する可能性があるとの市場の思惑に冷や水を浴びせた。英国の経済成長の勢いはかなり弱く、今後労働市場は冷え込む一方。インフレが極めて根強い状況になる可能性が高いなか、BOEは難しい舵取りを強いられそうだ。

 加ドルは来週も原油相場の動きに注目。先週の原油相場は週明けにイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘を背景に急反発したが、その後は中東の地政学リスクへの過度な警戒感が緩むと売りに押された。今週も中東情勢には留意したい。

 また、加国内では8月小売売上高・卸売売上高や9月住宅着工件数などの発表が予定されているが、9月CPIに一番注目が集まっている。6日に発表された9月雇用統計では雇用者数が予想を大きく上回り、賃金上昇率も予想より上振れした。カナダ中銀(BOC)の積極的な金融引き締めにも関わらず、需要は好調で企業の採用も続いていることが示された。市場ではBOCが今年あと1回利上げに踏み切るとの見方を強めている。BOCは年内、今月の25日と12月6日に金融政策会合を残しているが、来週のCPI次第では今月の会合で追加利上げを実施する可能性が出てくる。8月のCPIは前年比4.0%と市場予想を上回り7月の3.3%から伸びが加速した。BOCは「インフレ圧力が続いた場合には追加利上げの可能性がある」と表明している。

10月9日週の回顧
 今週はFRB高官らの発言を受けて米長期金利が低下しドル売りが先行したが、米9月CPIを受けて再びドル買いに傾き、ポンドドルは1.23ドル前半を頭に失速した。ドル加ドルは週明けの原油高の上昇が一服したことやドルの買い戻しが支えとなり、1.35加ドル後半で下げ渋った。対円では週明けこそ中東の地政学リスクを背景にリスクオフの円買いが先行するも、株高を支えにクロス円は底堅い動きとなり、ポンド円は183円後半、加ドル円は110円手前まで上昇した。(了)
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