週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、利上げ停止観測が重し
◆ポンド、英中銀の利上げ停止観測が重し
◆ポンド、対ドルの軟調さが対円での伸び悩みに繋がる
◆加ドル、原油高が支援材料
予想レンジ
ポンド円 179.50-184.50円
加ドル円 109.00-113.00円
10月2日週の展望
ポンドは上値が限定されそうだ。イングランド銀行(英中銀、BOE)の利上げ停止観測の広がりが重し。8月消費者物価指数(CPI)が予想外に減速したことが決め手となり、9月の英中銀金融政策委員会(MPC)は利上げを見送った。中銀は「短期的にインフレ率がより低下する」との見通しも示してもおり、欧州中央銀行(ECB)やスイス国立銀行(スイス中銀、SNB)と同じように、市場は一連の引き締めサイクルの終了を見込み始めた。もっとも、英インフレ率はユーロ圏や米国と比べてまだ高い水準にあり、目標の2%達成には遠い道のりと利下げを語るには時期尚早だ。一方、日銀は大規模な緩和継続を表明しており、日英の金利差は拡大したままとなるだろう。
金利差からはポンド円の買い材料となり得るが、それを難しくしているのが米金利先高観の強まりと本邦当局による円買い介入の可能性。タカ派的な据え置きを決めた米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て、米長期金利は約16年ぶりに高い水準まで上げ幅を拡大。ドルが全般堅調となるも、対円での上昇スピードは比較的穏やかとなっている。本邦通貨当局による円安抑制の施策が警戒されたからだろう。ポンドドルとドル円ではドル高が進むスピードが違うため、ポンド円は伸び悩むことになるのではないか。
週明けには日銀短観の発表があり、結果次第で円安加速もあり得る。当局がボラティリティが高まったと判断すれば、円買いドル売り介入が実施され、その場合には一時的にポンド円も大きく水準を下げる場面も想定しておきたい。
加ドルは、米長期金利を材料とした為替相場の値動きに沿いながらも、原油相場の動向次第では他通貨とは違った動きもありそうだ。石油需給のひっ迫感が高まるなか、原油先物は上昇力を強めている。米金利高を受け対ドルで弱含む通貨が多い中、産油国通貨の加ドルにとって原油高は支援材料。対円では2008年1月以来の高値を更新し、更なる上値余地を試す段階にある。もちろん、原油相場の失速には注意が必要。他にも、米国の金利高が世界経済全体の成長の足かせになるという警戒感が強まるようだと、リスクセンチメント悪化から資源国通貨売り・円買いに波及する可能性もある。なお、10月6日には米国とカナダの9月雇用統計が発表される。
9月25日週の回顧
ポンドは売りが先行。対ドルでは1.22ドル半ばから3月半ば以来の安値となる1.2100ドル手前まで下落した。ポンド円は182円付近から181円割れまで下押しした。米金利高によるドル買いが対ポンドで強まるなか英中銀利上げの停止観測も重しとなった。もっとも、その後は月末・期末にかけてのポンド買いで反発し、対円では182円台を回復した。
加ドルはドル高の流れにつれて1.35加ドル半ばまで加ドル安に振れるも、原油高を支えに1.34加ドル後半まで買い戻された。加ドル円は110円割れから110円後半まで上昇し、2008年以来の加ドル高円安を記録した。(了)
(小針)
◆ポンド、対ドルの軟調さが対円での伸び悩みに繋がる
◆加ドル、原油高が支援材料
予想レンジ
ポンド円 179.50-184.50円
加ドル円 109.00-113.00円
10月2日週の展望
ポンドは上値が限定されそうだ。イングランド銀行(英中銀、BOE)の利上げ停止観測の広がりが重し。8月消費者物価指数(CPI)が予想外に減速したことが決め手となり、9月の英中銀金融政策委員会(MPC)は利上げを見送った。中銀は「短期的にインフレ率がより低下する」との見通しも示してもおり、欧州中央銀行(ECB)やスイス国立銀行(スイス中銀、SNB)と同じように、市場は一連の引き締めサイクルの終了を見込み始めた。もっとも、英インフレ率はユーロ圏や米国と比べてまだ高い水準にあり、目標の2%達成には遠い道のりと利下げを語るには時期尚早だ。一方、日銀は大規模な緩和継続を表明しており、日英の金利差は拡大したままとなるだろう。
金利差からはポンド円の買い材料となり得るが、それを難しくしているのが米金利先高観の強まりと本邦当局による円買い介入の可能性。タカ派的な据え置きを決めた米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て、米長期金利は約16年ぶりに高い水準まで上げ幅を拡大。ドルが全般堅調となるも、対円での上昇スピードは比較的穏やかとなっている。本邦通貨当局による円安抑制の施策が警戒されたからだろう。ポンドドルとドル円ではドル高が進むスピードが違うため、ポンド円は伸び悩むことになるのではないか。
週明けには日銀短観の発表があり、結果次第で円安加速もあり得る。当局がボラティリティが高まったと判断すれば、円買いドル売り介入が実施され、その場合には一時的にポンド円も大きく水準を下げる場面も想定しておきたい。
加ドルは、米長期金利を材料とした為替相場の値動きに沿いながらも、原油相場の動向次第では他通貨とは違った動きもありそうだ。石油需給のひっ迫感が高まるなか、原油先物は上昇力を強めている。米金利高を受け対ドルで弱含む通貨が多い中、産油国通貨の加ドルにとって原油高は支援材料。対円では2008年1月以来の高値を更新し、更なる上値余地を試す段階にある。もちろん、原油相場の失速には注意が必要。他にも、米国の金利高が世界経済全体の成長の足かせになるという警戒感が強まるようだと、リスクセンチメント悪化から資源国通貨売り・円買いに波及する可能性もある。なお、10月6日には米国とカナダの9月雇用統計が発表される。
9月25日週の回顧
ポンドは売りが先行。対ドルでは1.22ドル半ばから3月半ば以来の安値となる1.2100ドル手前まで下落した。ポンド円は182円付近から181円割れまで下押しした。米金利高によるドル買いが対ポンドで強まるなか英中銀利上げの停止観測も重しとなった。もっとも、その後は月末・期末にかけてのポンド買いで反発し、対円では182円台を回復した。
加ドルはドル高の流れにつれて1.35加ドル半ばまで加ドル安に振れるも、原油高を支えに1.34加ドル後半まで買い戻された。加ドル円は110円割れから110円後半まで上昇し、2008年以来の加ドル高円安を記録した。(了)
(小針)