東京為替見通し=ドル円、米10年債利回り4%台で底堅い展開か

 8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の低下を背景に143.66円まで下落後、ボスティック米アトランタ連銀総裁が早期利下げ観測をけん制したことで144.20円台まで反発した。ユーロドルは米金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りで一時1.0979ドルまで上昇する場面があった。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが4.0%台で推移していることで底堅い展開が予想される。

 年初来のドル円は、2日の安値140.82円から3手連続陽線で上昇。その後、5日の米12月雇用統計を受けて高値145.97円まで続伸したものの寄引同事線となり、昨日は抱き線で反落した。テクニカル分析では、143円台の日足一目均衡表・転換線(143.11円)と基準線(143.88円)、200日移動平均線(143.42円)の上で推移していることで、買いバイアスが優勢な展開となっている。

 米12月雇用統計では、失業率の3.7%、非農業部門雇用者数の前月比+21.6万人、平均時給の前年同月比+4.1%などはドル買い材料だった。しかし、11月と10月の非農業部門雇用者数が合計で7.1万人下方修正されたこと、家計調査の就労者数が68.3万人減少していたこと、失業期間が長期化し、労働参加率は62.5%へ低下し、労働時間が減少していたことは、ドルの上値を抑える要因となった。

 ドル円を下支えする材料としては、米12月の失業率と非農業部門雇用者数を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期が先送りされる可能性がやや高まったこと、米議会超党派が2024年会計年度予算の大枠について合意に達したことで20日以降に米政府機関の閉鎖が回避される可能性が高まったことなどが挙げられる。

 さらに、令和6年能登半島地震を受けて、生産活動の落ち込みや政府による復旧対策の補正予算編成などで、1月や3月に開催される日銀金融政策決定会合での早期マイナス金利解除が困難となったことも、円売り要因となっている。

 8時半に発表される12月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)の予想は前年比+2.1%で、11月の同比+2.3%からは伸び率の鈍化が見込まれている。また、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数の予想は前年比+3.5%で、11月の同比+3.6%からの伸び率の鈍化が見込まれている。

 12月の東京都区部CPIは来週発表される12月の全国CPIの先行指標となるため、日本のインフレ率の鈍化傾向を確認することになる。しかしながら、能登半島地震の影響により、日本のインフレ率が予想通りに鈍化傾向を辿っても、市場への影響は限定的だと思われる。

 9時30分に発表される11月豪小売売上高は前月比+1.2%と予想されている。2月5-6日の豪準備銀行(RBA)理事会に向けて、重要視されている11月消費者物価指数(CPI)の発表を明日に控えていることで、予想から大幅に外れることがない限り市場への影響は限定的か。




(山下)
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