東京為替見通し=ドル円、日・米10年債利回りの動向次第の値動きか

 18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、6月米小売売上高が予想を下回ったことで、137.70円まで下落後、植田日銀総裁の発言を受けて、139.14円まで反発した。ユーロドルは低調な米小売売上高を受けて1.1269ドル付近まで上昇後、1.1209ドルまで反落した。ユーロ円はクノット・オランダ中銀総裁の発言で154.88円まで下落後、156.11円付近まで反発した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合に向けた日米10年債利回りの動向次第の展開が予想される。

 ドル円は、来週27-28日の日銀金融政策決定会合でのイールドカーブコントロール(YCC)許容変動幅拡大観測を受けて137.25円まで下落後、拡大観測の後退により、200日移動平均線136.99円を支持に、137円台から139円台で下げ渋る展開となっている。昨年12月20日の日銀金融政策決定会合でのYCC許容変動幅拡大の時は、200日移動平均線を下回った後で、高値137.48円から安値130.58円まで下落しており、137-138円付近はYCCに関する分岐点なのかもしれない。

 YCCに関しては、内田日銀副総裁や早川元日本銀行理事による許容変動幅の修正を示唆する発言に対して、植田日銀総裁が否定的な見解を述べていることで、動きづらい展開となっており、本日も日銀関係者や報道によるYCCへの見解に警戒することになる。

 7日の内田日銀副総裁のインタビュー記事では、「YCCは、金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点からバランスをとって判断していきたい」と述べていた。
 「YCC」は、長期金利の目標であり、昨年12月の許容変動幅の拡大時には、金融政策の変更ではない、と明言されている。
 「マイナス金利」は、短期金利の金融政策であり、変更することは、金融緩和策から引き締め策への移行、すなわち、金融政策の変更を意味する。
 そこで、内田日銀副総裁は、長期金利のYCCと短期金利のマイナス金利を分離して、金融政策の変更ではないYCC修正の可能性を示唆した。

 13日の元日本銀行理事の早川英男氏のインタビュー記事では、日銀金融政策決定会合で、YCCにおける長期金利の変動幅を拡大する政策修正を行う可能性がある、との見解を示していた。

 14日の新聞報道では、7月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、物価見通しが引き上げられる可能性が報じられた。

 16日、植田日銀総裁は、市場で金融緩和策を修正するという観測が広がっていることに対して釘をさした。「債券市場の機能に関する私の認識は4月や6月の決定会合のときと大きく変わっていない」と述べた。さらに、昨日18日も「持続的、安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離がある」と述べ、YCCの修正観測を後退させている。


(山下)
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