東京為替見通し=ドル円、米12月CPI控えて半値戻し146.08円を意識し堅調推移か

 10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は東京市場からの流れを引き継ぎ145.83円まで上昇した。米国株相場や日経平均先物の上昇を背景にしたリスク選好の円売りにも支えられた。ユーロドルは、シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事の発言「利下げに関する議論は時期尚早」を受けて1.0973ドルまで上値を伸ばした。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米12月消費者物価指数(CPI)への警戒感から高値圏での堅調推移が予想される。

 日銀金融政策決定会合での早期マイナス金利解除は、令和6年能登半島地震を受けた生産活動の落ち込みや政府による復旧対策の補正予算編成などで、困難ではないかとの見方が円売り要因となっていた。そして昨日は、2023年11月の毎月勤労統計調査で、物価変動の影響を除いた実質賃金が20カ月連続で減少しており、日銀の金融政策正常化の条件である「賃金と物価の好循環」には程遠い状況だったことで円売りが加速している。

 ドル円のテクニカル分析では、昨年11月13日の高値151.91円から12月28日の安値140.25円まで11.66円下落した後、今年1月5日の高値145.97円まで反発して、半値戻しの146.08円に迫っている。明日の日足一目均衡表・雲の下限が146.04円に位置していることで、146円台に乗せて抵抗帯である雲の中に入っていくのか否かが注目ポイントになる。

 今夜発表される米12月CPIは前年比予想+3.2%で、11月+3.1%から上昇する見込み。CPIの結果を受けた3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率の動向を見極めることになる。CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月FOMCでの0.25%の利下げ確率は64%程度、据え置き確率は32%程度となっている。

 なお米国12月のインフレ動向は以下の通りに低下傾向が続いており、ネガティブサプライズに警戒しておきたい。
 ISM製造業「価格」指数は、12月が45.2となり、11月の49.9から低下している。
 ISM非製造業「価格」指数は、12月が57.4となり、11月の58.3から低下している。
 ミシガン大学の12月調査の1年先インフレ期待は3.1%となり、11月調査の4.5%から低下して、2021年3月以来の低水準だった。
 ニューヨーク連銀の12月調査の1年先のインフレ期待は3.0%となり、11月調査の3.4%から低下して、2021年1月以来の低水準だった。


(山下)
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