東京為替見通し=ドル円、日本の12月CPIを見極めた後は日米債券利回り動向に注目か

 18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、前週分の米新規失業保険申請件数や12月米住宅着工/建設許可件数を受けて米10年債利回りが4.1516%まで上昇したことで148.30円まで上昇した。ユーロドルは1.0847ドルまで下落したが、取引終了間際には1.0878ドル付近まで下げ渋った。ユーロ円も160.65円まで弱含んだが、売り一巡後は下げ渋った。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の12月の消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、日米債券利回りや日経平均株価の動向に連れた値動きが予想される。

 ドル円は、連邦公開市場委員会(FOMC)での早期利下げ開始観測の後退、日銀金融政策決定会合での早期マイナス金利解除観測の後退を受けて148円台まで買い戻されている。
 1月9日時点のCFTCでの円のネット売り持ちポジションは、55949枚(NY終値:144.48円)となっており、昨年11月14日の130249枚(NY終値:150.37円)から大幅に減少していた。ドル売り・円買いの背景には、3月FOMCでの利下げ開始観測や日銀の早期マイナス金利解除観測があったが、日米金融政策が当分現状維持される可能性が高まりつつあることでドル買い・円売りに繋がっている。

 本日は、日本の12月のCPIを見極めて、日銀のマイナス金利解除時期を探ることになる。
 植田日銀総裁は、金融政策の正常化に向けて、「第1の力」と「第2の力」を注視している。
 「第1の力」である円安による輸入物価の上昇などの悪い物価上昇は、鎮静化しつつある。輸入物価指数は、ピークだった2022年7月の前年比+49.2%から、2023年12月には同比-4.9%まで低下していた。
 「第2の力」は、賃金と物価がともに上昇する好循環という良い物価上昇であるが、先日発表された昨年11月の実質賃金は20カ月連続の減少を記録しており、本日発表される昨年12月のCPIに要注目となる。
 8時30分に発表される12月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は前年比+2.3%と予想されており、11月の同比+2.5%からの伸び率鈍化が見込まれている。生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)の予想は同比+3.7%で、11月の同比+3.8%からの伸び率鈍化が見込まれている。

 日本の12月のインフレ率が予想通りだった場合、日銀のマイナス金利解除は4月以降に先送りされる可能性が高まることで、円売り要因となる。
 来週22-23日の日銀金融政策決定会合での「経済・物価の情勢」(展望リポート)では、昨年10月時点に比べて原油価格が大幅に下落していることから、2024年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の上昇率見込みを10月時点の2.8%から2%台半ばに下方修正する可能性が警戒されており、円売り要因となっている。


(山下)
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