東京為替見通し=日米インフレ指標に要注目、本邦インフレ低下はゼロ金利解除に水を差すか

 海外市場ではドル円は、10-12月期米国内総生産(GDP)速報値が予想を上回ったことで一時147.92円と日通し高値を付けた。しかし、食品とエネルギーを除いた個人消費支出(PCE)コア価格指数が前期比年率2.0%上昇と市場予想通りとなり、インフレ抑制が進んでいるとの見方が広がると一転ドル売りが優勢となり、一時147.09円と日通し安値を更新した。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢になり147.90円付近まで持ち直した。ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会後に、ラガルドECB総裁の会見で利下げ観測が高まると、ユーロを売る動きが広がり1.0822ドルまで弱含んだ。

 本日のドル円は、引き続き底堅さを維持すると思われるが、アジア時間は本邦のインフレ指標、欧米入り後は米国からのインフレ指標の結果を見定め、日米長期金利の動向に連れた動きになるだろう。
 
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月の利下げ予想が先週までは過半数を占めていたものが、昨日は利下げと据え置きがほぼ拮抗している。米連邦準備理事会(FRB)がブラックアウト期間に入っていることで、FRB高官の見通しなどの発言が出てこないが、同期間に入るまでは比較的早期利下げに対しては否定的な発言が目立った。利下げへの慎重姿勢を崩していないことがドルを支えている。また、昨日発表された対外対内証券投資では、海外投資家が年初から3週連続で現物株を買い越したことが判明し、累計では約1兆5000億円にも上るなど、堅調な本邦株の動きもドル円を底堅くしている。この流れが続く限りは、ドル円の下値が堅くなるだろう。

 本日は日本時間の8時30分頃発表の1月の東京都区部消費者物価指数(CPI)にまずは注目したい。全国のCPIの先行指標となる同指標だが、生鮮食料品除く総合予想(コア)は前年比で1.9%の上昇となっている。予想通りとなった場合は10月の+2.7%、11月の+2.3%、12月の+2.1%に続いて4カ月連続の低下となり、2%を割り込んだ場合は2022年5月以来の伸び悩みとなる。今週の日銀政策決定会合の植田日銀総裁のタカ派発言や、春闘に向けて大企業を中心に物価高を超す賃上げ表明で、3月か4月のマイナス金利解除期待が高まる中、CPIが伸び悩みとなった場合はマイナス金利解除が先延ばしとなる可能性もあり円売りに動くか。

 もっとも、本日は米国からインフレ指標の1つ、12月米個人消費支出(PCE)が発表されることで、NY入り後も値幅を伴う動きになりそうだ。中でも名目PCEを実質PCEで割った「PCEデフレーター」から、更に食品とエネルギーを除いた「PCEコアデフレーター」はFRBが最重要視しているとされ、この結果次第で米金利とドルが大きな動きを見せることになるだろう。

 なお、本日は1788年1月26日に植民を目的とした英艦隊が初めて豪州に到達した日(オーストラリア・デー)で豪州市場が休場になる。

(松井)
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