東京為替見通し=ドル円、米10年債利回り3.91%台で下値リスクに要警戒か

 31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、低調な米国経済指標や米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を受けた米10年債利回りの低下を受けて146.01円まで下落後、147.44円付近まで反発した。ユーロドルは米長期金利の低下を受けて1.0887ドルまで上昇後、1.0795ドルまで反落した。ユーロ円は160.27円から158.57円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を受けて米10年債利回りが3.91%台に低下していることで、下値リスクに警戒する展開が予想される。

 昨年のドル円は、早期の米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始と日銀によるマイナス金利解除観測から、昨年11月13日の高値151.91円から12月28日の安値140.25円まで11.66円下落した。今年は、日米金融政策の早期転換観測の後退や新NISA(少額投資非課税制度)による円売り圧力などから、148.80円まで上昇した。その後、日銀金融政策決定会合での「物価見通しが実現する確度」への言及やFOMC声明文から利上げの可能性を示唆する文言が削除されたことなどで、146.01円まで反落している。

 現状のドル円は、147.36円付近に位置している短期的な攻防の分岐点である日足一目均衡表・転換線や中期的な分岐点である90日移動平均線を下回っていることで、下落リスクが高まりつつある。

 FOMCでは、4会合連続でFF金利誘導目標5.25-50%の据え置きが決定された。
 ハト派的な解釈としては、利上げの可能性を示唆する文言(any additional policy firming)が削除されて、金利引き下げにオープンな姿勢が示唆されたこととなる。
 タカ派的な解釈としては、「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信を強めるまで、誘導目標レンジの引き下げが適切になるとはみていない」と、必ずしも直ちに利下げが必要なわけではないとの認識が示されたこととなる。また、毎月最大950億ドルのバランスシートの縮小、量的金融引締政策(QT)を継続する意向が示されたこともタカ派となる。パウエルFRB議長は、3月FOMCでバランスシートについて詳細な議論を行う予定と述べた。

 パウエルFRB議長はハト派的な見解として「政策金利は今回の引き締めサイクルにおけるピークにある可能性が高く、経済がおおむね予想通りに展開した場合は景気抑制的な政策を元に戻すことが適切になる公算が大きいとわれわれは考えている」と述べた。
 しかし、タカ派的な見解として、「適切だと判断すれば、われわれは現在のFF金利誘導目標レンジをより長期にわたって維持する用意がある。3月利下げの可能性が高いとは考えていない」、すなわち、「より高く、より長く(higher-for-longer)」の可能性を示唆している。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月19-20日のFOMCでは、据え置き確率が65%台へ上昇、5.00-25%への利下げ開始確率が34%台へ低下している。


(山下)
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