週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、加ドルとも対円では底堅い

◆ポンド、加ドルとも、対ドルでは上値が重く対円では底堅い動きが続く
◆ポンド、英中銀の利下げ時期を巡る思惑で底堅い
◆加ドル、1月CPIを受けた早期利下げ思惑が重し

予想レンジ
ポンド円 188.00-192.50円
加ドル円 110.00-112.50円

2月26日週の展望
 米早期利下げ観測の後退によるドル高は一巡するも、米景気への期待や金融政策見通しの優位性などでドルの底堅い動きが続くと見込まれ、ポンド・加ドルは対ドルで上値の重い動きが来週も継続しそうだ。対円では、日銀がマイナス金利の解除に動いても低金利政策は続くとの見方が強いことで、円安地合いに大きな変化はなく、クロス円は高値圏での動きが想定される。

 コロナ禍に絡んで、日銀を除いた主要国中銀は最初の利下げとその後の利上げ局面では金融政策の同時性が見られたが、景気・物価見通しの格差から、高金利解除に向けての取り組みでは同時性に亀裂が入りそうで、その格差が各通貨の強弱につながる。英国は依然として景気減速への懸念とインフレ高長期化への警戒感が根強く、主要中銀のなかでも政策のかじ取りが一番難しいとされている。ただ、今年の経済データでは景気減速懸念を緩める結果も見られており、市場ではイングランド銀行(英中銀、BOE)の利下げは早くても年央か8月になるとの見方も多く、足もとでポンドは底堅さを維持しそうだ。

 来週、英国内ではポンドの動意につながりそうな経済指標やイベントは予定されておらず、ドルや円に左右される相場展開が見込まれる。今週20日、ベイリーBOE総裁は英議会財務委員会で、利下げ時期や利下げ幅について明言を避けたが、「市場の年内利下げ見通しは理不尽なものではない」との見解を示したほか、「利下げを開始する前にインフレ率が目標の2%に達するのを待つ必要はない」と述べた。一方、昨年後半にリセッションに陥った英経済は「明確な好転の兆候を示している」と深刻視しない姿勢を強調した。また、ブロードベント副総裁は「今年利下げを実施する可能性はあるがそれは経済の動向次第」と述べ、2月会合で利下げを主張したディングラ委員は「金融引き締め政策が大きなリスクがある英経済を悪化させる」との見解を示した。

 カナダでは来週、10-12月期GDP、12月GDPの発表が予定されている。最近の経済指標は強弱まちまちで、加ドルは引き続きカナダ中銀(BOC)の政策姿勢を探りながら原油相場を注視する動きとなっている。1月の雇用データは予想を大きく上回る強い結果となった一方で、今週発表の1月CPIは前年比2.9%と12月の3.4%から予想以上に鈍化し、伸び幅は昨年6月以来の低水準となった。市場ではBOCが4月にも利下げを開始するとの思惑がくすぶっており、6月までの利下げ開始の確率は8割以上に高まっている。早期利下げへの警戒感が加ドルの重しとなるも、中東の地政学リスクで原油相場が堅調な動きとなっていることが支えとなり、加ドルの方向感は限られそうだ。

2月19日週の回顧
新規の材料が乏しく相場全体が落ち着いた動き。ポンドドルは1.26ドルを挟んで上下し、ポンド円は189円台を中心に底堅い動きとなった。加ドルは予想比下振れの加CPIを受けて、ドル/加ドルは1.35加ドル前半、加ドル円は一時110円台まで加ドルが上値の重い動きとなった。(了)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。