株式明日の戦略-乱高下して4万円を下回る、内需優位の様相が強まるか

 7日の日経平均は大幅に3日続落。終値は492円安の39598円。米国株の上昇に好反応を示し、寄り付きは200円を超える上昇。開始直後には上げ幅を300円超に広げた。ただ、節目の40500円に接近したところでは押し戻された。

 その後、ドル円が円高に振れたことから急失速。一部メディア報道や日銀の中川審議委員の講演での発言から、3月の日銀会合でのマイナス金利解除が強く意識された。これを受けて半導体株が下げ足を強めると、日経平均も10時台半ばにはマイナス圏に沈んだ。

 さらに節目の4万円も下回ると、以降は売りが売りを呼ぶ展開。後場に入ると下げ幅を500円超に広げる場面もあり、39500円台に突入した。戻りらしい戻りはなく、500円近い下落で終了。序盤に高値、終盤に安値をつけて、ローソク足では実体の長い陰線を形成した。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆9200億円。大きな動きが出てくる中で商いは膨らんだ。業種別では電気・ガス、保険、銀行などが上昇した一方、輸送用機器、ゴム製品、電気機器などが下落した。愛媛の伊方原発3号機の運転停止を求めた裁判で、大分地裁が住民側の訴えを退けたと伝わったことを受けて、四国電力<9507.T>が後場急伸。半面、新株および新株予約権の発行を発表したブイキューブ<3681.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり675/値下がり929。日銀の早期のマイナス金利解除が意識されたことから、みずほFG、三井住友、東京海上、SOMPOなど金融株が上昇。じもとHD、島根銀行、京都FGなど地銀株に強く買われるものが散見された。足元の基調が強いさくらネットが大幅高となり、終値で1万円を上回った。ツムラやアインHDなど、材料があって前日に大きく上昇した銘柄が買いを集めた。

 一方、SCREEN、アドバンテスト、東京エレクトロンなど、半導体株が軒並み大幅安。円高進行が嫌気されてマツダ、日産自、ホンダなど自動車株の下げが大きくなった。TDKや太陽誘電などハイテク株が全般軟調。監査手続きに時間を要していることなどを理由に定時株主総会の「継続会」を開催する方針を示したエネチェンジや、前期の営業利益が計画を下振れたハウテレビジョンが急落した。

 日経平均は大幅安。米国株高を受けて上を試しに行きたい日であったが、国内要因から大きく崩れた。ただ、日経平均とTOPIXの下落率を見比べると、日経平均が1.2%安でTOPIXは0.4%安と大きな開きがある。業種別では全33業種中14業種が上昇しており、相場つきがガラッと変わった割には総売り状態にはならなかった。

 印象の悪い下げ方ではあり、米雇用統計の発表を前に為替が大きく動いたことを鑑みると、あすもリスク回避の売りは出てくると思われる。3月は日銀会合が18日~19日、FOMCが19日~20日に開催されることから、これらを通過するまでは上値は重いかもしれない。とは言え、日経平均は2月13日に1066円上昇して終値で37000円を超えてからは、ほぼノンストップで水準を切り上げてきた。終値(39598円)では5日線(39961円、7日時点、以下同じ)を割り込んだが、25日線(38160円)にはまだ距離がある。きょうの下げで上昇相場が終わったとまで判断するのは早計だ。為替動向には注意を払っておく必要があり、目先は円高に耐性がある内需銘柄が選好されやすくなるだろう。
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