ロンドン為替見通し=中東の地政学リスク、イスラエル次第に 露制裁への影響も見定め

 本日のロンドン為替市場では、週末にイランがイスラエルを攻撃したことに対する欧州株・債券市場の反応をまずは見極めながらの取引か。イランは、イスラエルが在シリア大使館に空爆したことに関連した報復攻撃は終了したと表明し、事態の鎮静化を図っている。米国もイスラエルに自制を求めており、週明けオセアニア・アジア市場では地政学リスクへの警戒は後退しつつある。

 今後はイスラエルのネタニヤフ首相がどのような態度を取るかだろう。イランは今回、これまで禁じ手とされてきた「本国からイスラエル本土への直接攻撃」を実行した。イスラエル国内の強硬派がいきり立っていることは充分に想定され、ネタニヤフ首相が落ち着かせることができるかがポイントとなりそうだ。

 もし、イランに向けて反撃するとなれば、イランでも依然として不満がくすぶっている武闘派の影響力拡大に繋がるだろう。そうなると、報復合戦の泥沼化への懸念が高まりそうだ。中東の地政学リスクを煽るつもりはないが、まだ暫く気にかけておくべき材料ではある。

 ほか、一部コモディティ価格急騰による為替市場への影響も見定めたい。米・英政府は、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とロンドン金属取引所(LME)において、ロシア産アルミニウムと銅、ニッケルの取引禁止を発表。また、ロシアからの輸入も禁止するなど新たな制裁を課した。これにより、アルミニウムとニッケルの価格は大幅に上昇し、銅価格もしっかり。

 アルミニウムの生産は中国が世界シェアの6割を占めているが、カナダや豪州も生産・輸出しており、それらの国の通貨動向には目を向けておきたい。ロシア産締め出の影響に対する思惑が交錯すると思われ、かなり荒っぽい値動きとなるかもしれない。

 欧州からは2月ユーロ圏鉱工業生産が公表されるが、遅行データであるため市場インパクトは弱そうだ。他、シムカス・リトアニア中銀総裁とレーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストが講演予定。また、ブリーデン英中銀(BOE)副総裁の発言も予定されている。それぞれ、利下げをどの程度まで意識させる話をするかが注目となる。

想定レンジ上限
・ユーロドル、11日安値1.0699ドル
・ポンドドル、ピボット・レジスタンス1の1.2532ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、ピボット・サポート1の1.0600ドル
・ポンドドル、2023年11月17日安値1.2374ドル

(小針)
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