東京為替見通し=ドル円、本邦当局の円安けん制に注意しつつ上値を試す展開か

【※表記を一部修正します。】

 11日のニューヨーク外国為替市場で、ドル円は3月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことを受けて下押すも、東京市場での安値152.76円を前に切り返した。その後は米長期金利が上昇する中で1990年6月以来となる高値153.32円を記録した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日米金利差が意識されやすい中、米長期金利の動向を眺めつつ上値を試しやすいとみる。

 昨日、神田財務官が円安けん制発言を行うも、従来の介入時に聞かれた「断固たる措置」や「投機的な動き」などの強い口調ではなかったことから、ドル円の下押しは限定的となった。次に、昨日の米PPIは市場予想を下回ったとはいえ、足元で高まっている米利下げ開始時期の観測に影響を与えるほどではなかった。

 これらを合わせ、本邦金融当局者からの円安けん制姿勢が強さを増さない限り、市場の関心は日米金利差に向かいやすいとみる。ドル円はテクニカル面からみても、上昇パターンの「アセンディング・トライアングル」上抜けで上値模索の機運が高まっており、米長期金利の上昇場面では、ドル円にも上昇圧力が掛かることが予想される。昨日高値153.32円を突破すると、1990年6月高値155.87円まで主だった目標値が見当たらないこともあり、154円などの「きりのよい水準」を手掛かりに上値を試すことになるだろう。仮に下押したとしても、昨日安値152.76円レベルが引き続きサポートとして機能するか注目したい。

 ただし、本邦金融当局者からの円安けん制の動きには引き続き注意したい。昨日見られなかった強い口調のほか、レートチェックや実弾介入など、当局の本気度が伝わる場合は、約34年ぶり高値水準に位置するドル円相場に強い下押し圧力が掛かることも想定される。引き続き注意が必要だろう。

 なお、本日中国では時刻未定ながら3月貿易収支の発表が予定されている。市場予想は702.0億ドルの黒字と前月(1251.6億ドルの黒字)と比べ黒字幅の縮小が見込まれている。

(川畑)
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