東京為替見通し=ドル円、本邦通貨当局による介入水準を見極め

 7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、対欧州通貨などでドル高が進んだ流れに沿って150.69円まで上昇。もっともその後、米長期金利の低下幅拡大を受けて150.30円台まで上値を切り下げた。ユーロドルは、独長期金利の低下を受けて1.0664ドルまで下落後、米長期金利の低下が支えとなり1.07ドル台を回復した。

 ドル円は再び円安基調が強まってきた。本日の東京外国為替市場では円買い介入が実施される防衛水準が151円台なのか否かを見極めていくことになる。 
 
  神田財務官は、今月1日にドル円が151円台で推移していた時、「過度な変動にはあらゆる手段を排除せず適切な行動をとる」と述べ、介入を含めた準備状況に関しては、「スタンバイだ。マーケットの状況を緊張感を持って見ているなかで判断する」とドル売り・円買い介入の可能性を警告していた。

  ドル円が151円台に乗せて上昇していく可能性としては、中東情勢の緊迫化が第5次中東戦争に拡大して、石油ショックが引き起こされた場合の円建て資産のトリプル安(株安、債券安、円安)が想定される。

 イスラエルが、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に対して本格的な地上侵攻を開始した場合、ハマスを支援するイランが参戦し、第5次中東戦争に拡大する可能性が警戒されている。さらに、レバノンを拠点とする武装組織ヒズボラは、地上侵攻を「レッドライン」超えとして介入した場合、イスラエルはハマスとの「第一戦線」に加えて、ヒズボラとの「第二戦線」の両面作戦を強いられることになる。

 先日、イスラエルのアミサイ・エリヤフ遺産大臣が「ガザに原爆を投下する選択肢」に言及して、閣議出席を禁止された。しかし、ヒズボラ「第二戦線」とイラン「第三戦線」が参戦して第5次中東戦争に拡大した場合、国家存亡の危機に追い込まれたイスラエルが、戦術核の使用に踏み切る可能性が警戒されており、要警戒となる。

 一方、昨日のNY債券市場では米10年債利回りが4.50%台に低下しており、本日のドルの上値を抑える要因になるのかもしれない。

 ドルの懸念材料としては、17日に期限を迎える「つなぎ予算」失効。米政府機関が閉鎖され、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが米国債の格下げを決定する可能性が挙げられる。関連ヘッドラインには警戒しておきたい。

(山下)
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