東京為替見通し=ドル円、円買い介入に要警戒、豪ドルはRBA金融政策に注目

 6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.66%台まで上昇したことで150.08円まで上昇した。ユーロドルは1.0716ドルまで弱含みに推移した。ユーロ円は160.98円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、NY市場での米10年債利回りの上昇を受けた堅調地合いが続くことが予想されるものの、150円台では伸び悩む展開が予想される。
 ドル円の注目水準は、3日の高値150.55円、日足一目均衡表・転換線(※過去9日間の高値・安値の中心値)の150.27円、NYカットオプションの行使価格が集中している150.00円となる。

 NY債券市場では、2-7年国債の利回りが10bp以上上昇する局面があったが、社債の大量発行や本日からの米国債入札への警戒感によるものとされた。クックFRB理事の発言「米長期債利回りの上昇は、一段の利上げに対する市場の期待で引き起こされたものではない」通りなのかもしれない。

 今月1日の午前8時頃、ドル円が151円台で推移していた時、神田財務官は「短い間に数円動いている。一方的で急激な動きを懸念していて、過度な変動にはあらゆる手段を排除せず適切な行動をとる」と述べた。介入を含めた準備状況に関しては、「スタンバイだ。マーケットの状況を緊張感を持って見ているなかで判断する」とドル売り・円買い介入の可能性を警告していた。

 ドル円が151円台に向けた再び上昇基調に入った場合は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入がスタンバイから実施に移されるのかもしれない。
 
 現状、ドル円が上昇する可能性としては、中東情勢の緊迫化が第5次中東戦争に拡大して、石油ショックが引き起こされた場合の円建て資産のトリプル安(株安、債券安、円安)が想定される。50年前の1973年の第4次中東戦争と第一次石油ショックによる円安局面が再現された場合、本邦通貨当局による円買い介入で歯止めがかけられるのか否かを見極めることになる。

 12時30分に発表される豪準備銀行(RBA)政策金利は、現行4.10%から0.25%引き上げて4.35%にすることが予想されている。10月3日のRBA理事会の議事要旨では、再利上げを検討したものの、オフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を4会合連続で据え置く根拠がより強いと判断したことが示された。しかし、「インフレ率が現在予想されているより目標水準への戻りが遅くなる可能性を委員会はさほど容認し得ない。従って、さらなる利上げが必要かどうかは、今後発表される統計と、それが経済見通しとリスク評価の進展をどう変化させるかに左右される」と説明。

 オーストラリアの7-9月期の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比5.4%上昇し、豪中銀が注目しているコアインフレ率の指標(CPIトリム平均)も前年同期比5.2%上昇していた。ブロックRBA総裁は、インフレ見通しが大幅に上方修正された場合、追加利上げをためらわない、と述べている。豪準備銀行(RBA)は、2025年末までにインフレ率を2-3%の目標レンジの範囲内に確実に戻すことを目指している。



(山下)
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