ロンドン為替見通し=欧州通貨、ユーロ圏や英国の金融政策に対する思惑で上下

 本日のロンドン為替市場で欧州通貨は、対ドルでは米金利の動向に左右されやすいものの、ユーロ圏や英国の金融政策に対する思惑でも上下することになりそうだ。

 昨日はタカ派のホルツマン・オーストリア中銀総裁やナーゲル独連銀総裁が、早急な利下げには慎重な姿勢を見せた。一方で、センテノ・ポルトガル中銀総裁が年内数回の利下げに言及するなど、依然としてハト派の積極的なコメントも目立つ。ユーロ圏インフレ率が欧州中央銀行(ECB)ターゲット2%を視野に入れるなか、短期金融市場は年末まで3回の0.25%の金利引き下げを予測している。

 欧州金利の先安観は強まったままだが、昨日のユーロドルは米長期金利が低下した影響を受けて1.06ドル後半まで反発した。もっとも5日続落した後なだけに、まだ調整の範囲とも言える。本日は欧州序盤にデギンドスECB副総裁、午後には独連銀総裁が講演予定。政策に中立的な立場をとってきたデギンドス氏の意見により注目が集まるか。利下げ避けられずというニュアンスの文言がでれば、再びユーロの下値トライが見られるかもしれない。

 ほか、気になるのは独米の中国に対する姿勢の違い。今週前半の訪中で習・国家主席と会談したショルツ独首相は、両国の経済関係強化を確認した。一方でバイデン米は昨日、中国製の鉄鋼・アルミ製品への関税を引き上げると表明している。中国を巡って米独関係がギクシャクした場合、金融市場への影響は未知数だが、ポジティブではないように思える。

 ポンドドルも昨日は1.24ドル台で買い戻しが優勢。3月英消費者物価指数(CPI)が総じて予想を上回ったことに加えて、米金利の低下にも後押しされた。ただし、先週からの下落幅が300ポイントを超えた後の調整にしては、反発力はそれほど強くないようにも見える。

 ベイリー英中銀(BOE)総裁は昨日、「来月は大幅なインフレ低下を予想」と述べており、一時は年1回まで後退したBOE利下げ見通しは、0.25%の引き下げを2回まで持ち直した。米金利次第というところはあるのだろうが、ポンドの上値の重さは依然として意識されるのではないか。

想定レンジ上限
・ユーロドル、ピボット・レジスタンス1.0727ドル
・ポンドドル、12日高値1.2559ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、16日安値1.0601ドル
・ポンドドル、昨年11月17日安値1.2374ドル


(小針)
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