NY為替見通し=イエレン発言が下値を限定させるか、タカ派の連銀総裁講演にも注目

 本日のNY市場でのドル円は、下値は限られると予想する。先週の米雇用統計後に151.86円まで弱含んだドル円だが、東京が休場の本日のアジア市場では買い戻しが優勢となり154円台を一時回復した。先週金曜日に商品先物取引委員会(CFTC)が発表した、円の先物ポジション状況では小幅ながら円ショートポジションが減少した。しかしながら、このポジションは4月30日時点のものだったこともあり、その後円高に傾いた場面では更に円ショートポジションを手仕舞った可能性もある。先週末の動きはCFTCの利食い確定のドル売り・円買いが雇用統計後に入り、大きくドル安・円高に動いただけなのかもしれない。

 ドル円の下値が限られると思われるのは、先週末のイエレン米財務長官の発言が要因。4日にアリゾナ州で行われた講演後に財務長官は、本邦当局の介入についてコメントを避けたものの、「比較的短期間にかなり大きく動いた」と述べた。4月26日から29日の2営業日で154.99円の安値から160.17円までと、5円超のドル円の急騰は過度の動きということで、これまでのように過度のボラティリティ上昇に対しての介入は否定はしなかった。しかしながら、「こうした介入はまれであり、協議が行われると予想される(we would expect these interventions to be rare and consultation to take place)」と付け加えていることで、緩やかに為替相場が動いた場合に本邦当局が円買い介入を行うのが難しいと思われることが、ドル円の下値を限らせそうだ。特に円買い介入は、ドル売りにつながることで、インフレの勢いが弱まらない中でのドル安は、米国サイドも避けたい考えがあるのかもしれない。

 なお、本日は米国からは主だった経済指標の発表は予定されていないことで、市場を動意づけるイベントリスクとしては、今年米連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を有するバーキン米リッチモンド連銀総裁とウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の講演になる。両氏ともこれまで利下げへの慎重姿勢を示し、ウィリアムズ氏は利上げの可能性にも言及していた。先週末の弱い雇用統計を受けて、両氏の発言に変化が生じるかが注目される。


・想定レンジ上限
 ドル円は、日足一目均衡表・基準線155.49円、その上は5月1日NY時間引け間近に行われた介入後の戻り高値156.28円。

・想定レンジ下限
 ドル円は、これまでの本日安値152.78円。その下は3日安値151.86円。


(松井)
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