東京為替見通し=ドル円は円買い介入の可能性に要警戒、豪ドルはRBA声明に要警戒か

 6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の低下により153.42円付近まで弱含んだものの、クロス円の上昇につれて154.00円付近まで反発した。ユーロドルは、米長期金利の低下により1.0791ドルまで上昇した後、1.0766ドル付近まで下押しした。ユーロ円は米国株相場の上昇を背景に165.99円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの低下や本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感から上値が重い展開が予想される。

 昨日のドル円は、東京市場が休場で閑散取引の中、4日のイエレン米財務長官の為替介入への牽制発言や本邦企業の米企業に対する買収案件による円売りへの思惑などから、早朝の安値152.78円から154.01円まで反発した後は、伸び悩む展開となっている。

 また、バーキン米リッチモンド連銀総裁やウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁のハト派発言を受けて、米10年債利回りが一時4.4%台に低下していたことも、ドルの上値を抑える要因となる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月FOMCでの利下げ開始と12月FOMCでも追加利下げが見込まれている。

 本邦通貨当局は、4月29日の東京市場休場の日に159円付近、5月2日の早朝5時過ぎに157円付近でドル売り・円買い覆面介入を行った模様だが、介入スタイルは円を押し上げる方式だと思われることで、今週は155円付近に反発した局面での円買い介入に警戒しておきたい。

 一方で、円買い介入に前後して、4月25日と5月4日にイエレン米財務長官は、為替介入への牽制発言を行っており、介入への歯止めになるのか否かにも要注目となる。

 2022年秋の円買い介入に関しては、イエレン米財務長官は「米国政府は日本からそのような通知を受け取っていなかった」と述べながらも、「ボラティリティを滑らかにするスムージングが目的であれば、理解できる」との認識を示していた。
 米国財務省の「為替政策報告書」では「2カ月間で623億ドルのドル売り・円買い介入を実施し、円の価値を高め、円安を押し戻した」「日本の当局は、最近高まっている円のボラティリティを低下させることを目的したものと述べている」として、事実関係の言及にとどめていた。

 4月25日、イエレン米財務長官は、円の対ドルでの下落に対応するために日本当局がとり得る動きについて自身の姿勢を問われ、「介入がまれであることを願う。そのような介入がめったに起きず、過度な変動がある場合に限定され、事前に協議があることが期待される」と述べた。
 その後、4月29日に本邦通貨当局は、ドル売り・円買い覆面介入を断行した。
 東京市場が昭和の日で休場だった4月29日、ドル円は160.17円まで上昇した後、本邦通貨当局による覆面介入(※推定5.5兆円)で154.54円まで反落した。
 5月2日の早朝5時過ぎにも、当局はドル売り・円買い覆面介入(※推定3.5兆円)を断行し、ドル円は157円台から153.04円まで下落した。
 5月4日、イエレン米財務長官は、3日終了週の円相場の動きは急激だったと認めた後、「こうした介入はまれであるべきで、協議が行われることが期待される」と述べた。

 今週は、イエレン米財務長官が「まれ(rare)」であるべきだと釘をさした介入が行われるのか、そして、9日に発表される4月末の本邦外貨準備高で、介入の原資が外貨預金だったのか、それとも米国債の売却だったのかを見極めることになる。

 13時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の政策金利は、4.35%での据え置きが見込まれている。注目ポイントは、オーストラリアのインフレ率が下げ止まっていることで、声明文では利上げの可能性に言及する可能性が警戒されている。タカ派的な声明文ならば、豪ドル買いに拍車がかかることで警戒しておきたい。

(山下)
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