東京為替見通し=ドル円、12月勤労統計を見極め 豪ドルはRBA金融政策に要注目

 5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は148.89円まで上昇、ユーロドルは1.0723ドルまで下落した。米10年債利回りの上昇、1月米ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことがドル買いに繋がった。ユーロ円は米国株相場の下落を背景にしたリスク・オフの円買い・ユーロ売りで159.39円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は12月勤労統計をまずは見極め。もっとも、米長期金利の上昇を背景にした堅調推移は続くと予想される。豪ドルは豪準備銀行(RBA)の金融政策発表に要注目となる。

 昨日のドル円は、パウエルFRB議長の発言「3月以降まで利下げに踏み切るのを待つ公算が大きい」を受けて、1月19日の高値148.80円を上回り148.89円まで上昇した。
 目先のテクニカルポイントは、151.91円から140.25円までの下落幅の76.4%戻しである149.16円。また、米10年債利回りは4.17%まで上昇しており、1月19日の4.196%を窺う展開となっている。

 CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、3月のFOMCでの0.25%の利下げ確率が16%台まで低下し、据え置き確率は83%台まで上昇した。5月FOMCでの利下げ開始確率は52%台までやや低下し、年内6回の利下げ予想が5回に減り、12月FOMCでのFF金利予想は4.00-25%となっている。

 8時30分に発表される昨年12月毎月勤労統計(現金給与総額)では、実質賃金の動向に要注目となる。11月の実質賃金は前年同月比-3.0%と20カ月連続でマイナスを記録しており、植田日銀総裁が重視している賃金と物価がともに上昇する「第2の力」への警戒感が高まっていた。

 もし昨年12月の実質賃金が21カ月連続でマイナスを記録していた場合、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」や植田総裁が言及していた物価見通し実現の「確度」が後退することで、円安要因となる。同総裁は、「円安による輸入物価や海外の物価高が波及する『第1の力』は継続しつつもピークを過ぎたと判断している。賃金と物価がともに上昇する『第2の力』は引き続きゆっくり上昇を続けている」と述べていた。

 RBAは12時30分に金融政策を発表予定。政策金利は4.35%で据え置かれることが見込まれており、声明文や13時30分からのブロックRBA総裁の会見から今後の政策を見極めることになる。

 オーストラリアの昨年11月、12月および10-12月期の消費者物価指数(CPI)はいずれも市場予想を下回る結果となり、インフレの鈍化が確認されている。昨年12月のRBA理事会での声明文では「インフレ率を妥当な期間内に目標に戻すため追加引き締めが必要かは、引き続き経済データとリスク評価の進展次第」と追加引き締めの可能性に言及していた。しかしインフレの伸び率鈍化を受けて、今回の声明文などで追加引き締めに対する姿勢が後退すれば、豪金利の先安観から豪ドルの重しになることが予想される。

 また、昨年までRBA会合後の金曜日に公表されていた四半期金融政策報告が、今年からRBAの金融政策と同時発表に前倒しされており、こちらにも注目する必要がある。

(山下)
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