東京為替見通し=ドル円、今夜の米1月雇用統計待ちで動きづらい展開か

 1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、10年債利回りが3.95%台まで上昇したことで147.11円まで上昇後、低調な米労働関連の指標を受けて10年債利回りが3.8147%まで低下したことで145.90円まで反落した。ユーロドルは米長期金利が低下したことで、1.0875ドルまで上昇。ユーロ円はユーロドルの上昇や米国株高に伴う円売り・ユーロ買いで159.21円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜の米1月雇用統計の発表を控えて動きづらい展開が予想される。

 また、米地銀持ち株会社ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)は、昨年10-12月(第4四半期)決算の予想外の赤字と減配を公表したことで、株価が急落しており、他の地銀株も商業用不動産へのリスクが再認識されつつあることで、下落している。
 昨年春のシリコンバレーバンクの経営破綻を彷彿とさせる米国の商業用不動産のリスクには、中国の不動産バブル崩壊のリスクとあわせて警戒しておきたい。

 パウエルFRB議長は、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、「今後入手されるデータとリスクバランスを精査して、決定を下す」と述べていた。雇用情勢に関しては、「雇用減は予想していないが、雇用が悪化すれば利下げする。労働市場の予期せぬ弱体化が見られれば、利下げは時期が早まる」と述べていた。
 すなわち、今夜発表される米1月雇用統計が悪化した場合、3月FOMCでの利下げ開始の可能性が高まることになる。

 1月米雇用統計の予想は非農業部門雇用者数が前月比+18.0万人で、昨年12月の同比+21.6万人から増加幅が減少、失業率の予想は3.8%で12月の3.7%から上昇、平均時給の予想は前月比+0.3%で12月の同比+0.4%から低下、前年比+4.1%で12月の同比+4.1%と変わらずと見込まれている。

 昨年12月の雇用統計では、家計調査の就労者数が68.3万人減少していたこと、労働参加率が62.5%となり、約3年ぶりの大幅低下となったこと、労働市場全体で支払われた賃金総額の伸び率が鈍化していたことなどの懸念材料があり、1月の雇用統計で改善されているのか、それとも悪化したままなのかを見極めることになる。

 12月は労働の単価が上昇したため、企業は長時間労働者を雇えなくなっており、労働者に支払われる金額の伸びが減速しており、米国経済の減速を暗示していた。

 1月の雇用関連の経済指標は、ISM製造業雇用指数は47.1で12月の47.5から低下、ADP全米雇用報告は前月比+10.7万人で12月の+15.8万人から減少しており、今夜の米1月雇用統計ではネガティブサプライズに警戒しておきたい。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月19-20日のFOMCでは、据え置き確率が62%台へやや低下、5.00-25%への利下げ開始確率が37%台へやや上昇しており、雇用統計を受けた利下げ開始確率の変化に要注目となる。

(山下)
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