東京為替見通し=ドル円、軟調推移か 豪CPIやRBNZ政策金利にも要注目

 28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は147.33円まで下落した。タカ派として知られるウォラーFRB理事が数カ月後の利下げの可能性を示唆し、米長期金利の低下とともにドル売りが活発化した。ユーロドルも1.1009ドルまでユーロ高ドル安が進んだ。ユーロ円は、ドル円の下落につれて161.93円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが4.3%台まで低下していることで下値リスクが高い展開が予想される。

 昨日は、米連邦準備理事会(FRB)のタカ派であるウォラー理事やボウマン理事が、ややハト派的な見解を示した。それらを受けて市場が織り込む来年の利下げ確率が上昇。米国債利回りの低下とともに、ドルは全面安の展開となった。

 ウォラーFRB理事は、インフレ率が低下し続ければ、数カ月先に政策金利を引き下げる可能性を示唆した。ボウマンFRB理事は、「インフレ率の低下が停滞した場合には利上げを支持する」とタカ派見解を述べつつも、追加利上げは経済データ次第とし、追加利上げを明確に求めるには至らなかった。

 今週のドル円の注目経済指標は、FRBがインフレ指標として注視している30日に発表される米10月PCE価格指数。もし、10月PCE価格指数の伸び率が鈍化していた場合、来年の利下げ開始時期が、これまで市場が見込んでいた「6月や5月」から3月あたりまで前倒しされる可能性が高まることになる。CMEのフェドウオッチによると、米金利先物市場では来年3月の利下げ確率を約34%、5月は約49%と想定している。

 ドル円のテクニカル分析では、長期的には、エリオット波動の最終第5波を示唆する「斜行三角形」を形成しつつあり、中期的には高値反転を示唆する「弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」を形成しつつあることで、下値リスクが高まりつつある。
 そして短期的には「ダブル・トップ(151.72円・151.91円)」がネック・ラインの149.21円(11/3安値)を下抜けたことで完成し、目標値146.70円{=149.21円-(151.72円-149.21円)}が点灯している。

 9時30分発表の10月豪消費者物価指数(CPI)は前年同月比+5.2%と予想されており、9月+5.6%から低下見込み。ブロックRBA総裁は先日、「価格上昇がCPI項目の広範囲にわたり、インフレがますます国内主導、需要主導になっている」と述べ、金利がしばらく高止まる可能性が高いことを示唆していた。10月CPIでRBA総裁の発言を裏付けるような広範な物価上昇が確認されれば、追加利上げ期待の高まりとともに豪ドル相場を下支えすることになる。

 10時に発表されるニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利は、5.50%での据え置き予想。声明文では、足もとのインフレ率がRBNZの目標レンジである1-3%からまだ距離があることを考慮すると、「政策金利を当面抑制的な水準に維持する必要がある」との基本方針に変化はないことが予想されている。しかし、今後の四半期CPIが予想を下回る可能性が高まりつつあることで、RBNZのインフレに対する見方に注目しておきたい。


(山下)
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