東京為替見通し=ドル円の上値は限定的か、本邦企業物価指数・RBNZのMPCに要注目

 海外市場でドル円は、円買い・ドル売りが優勢となり、欧州時間には一時140.16円と6月16日以来の安値を付けた。米10年債利回りが上昇に転じたタイミングで一時140.96円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。ユーロドルは1.10ドルを挟み小動きだった。

 本日のドル円も上値は限定的になるか。先週の内田日銀副総裁による発言以来続いている円安の調整(円の買い戻し)相場が続いているが、この流れが継続される勢いで、ドル円の上値は限定的になりそうだ。

 本日も円高を援護射撃するかのように、日経新聞朝刊が「日銀の利上げ時期 ヒントは?」とのタイトルで、来年のマイナス金利解除時期について掲載している。7月にイールドカーブコントロール(YCC)の上限引き上げが決定されるかは依然として不透明だが、本邦のインフレ傾向が鮮明なこともあり、日銀の軌道修正が年後半に行われる確率は高まっていることで、根強い円の買い戻しになりそうだ、

 その中で本日注目されるのが、6月の企業物価指数になる。5月は市場予想よりも下振れたが前年比で+5.1%になり、昨年の同月が+9.4%だったことを考慮するとインフレ高進は明らかだった。また、輸入物価指数は前年比で-9.6%となったものの、1年前の同月が44.9%と大幅に上昇していたこともあり、低下することを市場は織り込んでいた。本日発表される同指標で更にインフレが高進すれば、円相場にも影響を与えそうだ。

 もっとも、本日の値動きを限らせるのは、米国入り後に今週最大の注目となる6月の米消費者物価指数(CPI)が発表されること。すでに、今月の米連邦準備理事会(FRB)の利上げを市場は9割以上織り込んでいるが、更にインフレが進んでいることが確認されれば、7月以後の利上げ期待も高まり、ドル売りの流れが一転する可能性もありそうだ。

 ドル円以外で注目されるのは、オセアニア通貨の動き。本日はニュージーランド準備銀行(RBNZ)が金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利を発表する。変化はわずかとされているがMPCの権限と憲章が更新されてから初めてのMPCとなることで、これまでとは発表される声明内容に変化が生じる可能性もある。なお、前回は5対2の票決によって利上げが決定されたが、今回は据え置き予想となっている。また、RBNZのMPC後に豪準備銀行(RBA)のロウ総裁の講演も予定されていることで、豪ドルも値動きが荒くなることが予想される。

(松井)
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