東京為替見通し=まずは企業物価指数を見極め、今週はFOMCと日銀会合を控える

 9日の海外市場でドル円は、欧州序盤に「日銀は来週15-16日に開く金融政策決定会合で、大規模金融緩和策の維持を決める公算が大きい」との報道を受けて139.73円まで上昇後、139.03円付近まで反落した。ユーロドルは、米長期金利が上昇し、独長期金利が低下したことで1.0743ドルまで弱含みに推移した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の5月の企業物価指数を見極めた後は、明日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて動きづらい展開が予想される。

 ドル円は週明け、過去9日間のレンジの中心である日足一目均衡表・転換線139.45円付近で推移している。13-14日に開催されるFOMCと15-16日開催の日銀金融政策決定会合での金融政策の現状維持という見通しにより、居心地がいい水準なのかもしれない。

 8時50分発表の5月企業物価指数は前月比-0.2%/前年比+5.6%と予想され、4月分から低下見込み。注目ポイントは、4月速報で前年比-2.9%だった内訳の輸入物価指数。同指数は、昨年7月のエネルギー価格の上昇と円安による前年比+49.2%からは大幅に減速していた。輸入物価指数の4月分マイナスへの鈍化は、ドル円相場が130円台と円高傾向だったことが要因だった。が5月は140円台へ上昇する円安傾向だったことで、黒田前日銀総裁と植田日銀総裁が「コストプッシュ・インフレ」と言及していた輸入物価指数の動向を見極めることになる。

 明日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)では、先日、次期FRB副議長に指名されているジェファーソンFRB理事がタカ派的な利上げ休止を示唆していたように、据え置きが見込まれている。そして、米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者も「Fed Prepares to Skip June Rate Rise but Hike Later(FRBは6月会合では金利を据え置き、夏以降に再び利上げを行う準備をする可能性」と配信していた。すなわち、米連邦準備理事会(FRB)執行部の意向は、6月FOMCは利上げ休止、その後の利上げ再開や利下げへの転換は、データー次第ということになる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、6月は5.00-25%で据え置き、7月は5.25-50%への利上げ確率が高まっている。

 15-16日に開催される日銀金融政策決定会合では、先週末に関係筋の話として「日銀は来週15-16日に開く金融政策決定会合で、大規模金融緩和策の維持を決める公算が大きい」との報道通りに現状維持が見込まれている。



(山下)
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