東京為替見通し=FOMC声明「データ次第」を受けた米雇用統計に注目集まる

 4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は一時133.50円まで下落。米中堅金融機関の経営破綻への警戒感が高まったことによるリスク回避の円買い、米長期金利の低下を受けたドル売りが進んだ。しかしながら、一巡後は134円前半まで反発して終えている。ユーロ円も147.13円までユーロ安円高が進行も、米株の下げ幅縮小で下値を切り上げた。
 ユーロドルは1.0986ドルまで売られた後は1.10ドル前半で上下した。欧州中央銀行(ECB)理事会では予想通りに0.25%の利上げが決定された。

 本日のアジア外国為替市場では、海外市場同様にリスクセンチメントを見定めながらも、結局は今夜発表の「米4月雇用統計」待ちとなってしまうか。3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で「データ次第」と言及された後でもあり、統計結果への注目が集まる。

 ただ市場の焦点は、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策よりも、米債務上限問題や米金融システム不安に移りつつある。米4月雇用統計が改善していても反応は限られ、むしろ悪化していた場合の反応、すなわち「ドル売り、NY株売り、米国債買い」に要警戒となるのかもしれない。

 パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、「今回の声明は6月の政策金利据え置きを示唆しているのか」との質問に対し、「政策は入手するデータに左右され、会合ごとに判断する。その質問には6月の会合時に取り組む」と述べた。

 今夜の米4月雇用統計が発表され、次回の6月FOMCに向けた重要な判断材料となる。
 統計の予想は、失業率が3.6%で3月の3.5%から悪化、非農業部門雇用者数は前月比+18.0万人で3月の前月比+23.6万人から縮小見込み。
 前回3月の雇用統計では、リセッション(景気後退)入りの兆候である「黒人の労働参加率」が上昇しており、同じ傾向が続くか否かにも要注目となる。

 リセッションの到来を警告する「炭鉱のカナリア」は、債券市場では米10年債利回りと米2年債利回りの長短金利逆転(逆イールド)の状態が続いている。

 なお米4月の雇用関連指標は以下の通り、やや改善した指標のほうが多い。
         【4月】     【3月】
【改善】
〇ADP全国雇用者数:+29.6万人    +14.2万人
〇消費者信頼感指数(雇用):37.3%  36.5%(※職が十分-雇用が困難)
〇ISM製造業雇用指数:50.2      46.9
〇シカゴ購買部協会雇用指数:+8.5
〇チャレンジャー人員削減予定数:6万6995人  7万7770人
【悪化】
●新規失業保険申請件数(4/12週):24.6万件 19.1万件
●失業保険継続受給者数(4/12週):184.3万人 181.7万人
●ISM非製造業雇用指数:50.8      51.3

 CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では7月FOMCで0.25%の利下げへの織り込み度を高めつつある。金利スワップ市場でも7月利下げに傾きつつあり、それに加えて6月FOMCについても利下げ確率が約25%まで広がった。そのため、今晩の米雇用統計のネガティブサプライズには警戒しておきたい。

 なお本日10時30分には豪準備銀行(RBA)四半期金融政策報告が公表される。2日のRBAによる予想外の利上げ(3.60%⇒3.85%)の背景となるインフレ見通しの変化などに注目したい。

(山下)
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