東京為替見通し=ドル円、下値を探る展開か ややハト派的なFOMC声明を受け

 22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は131.01円まで下落した。ややハト派的なFOMC声明、パウエルFRB議長が「利上げ休止を検討した」と述べ、イエレン米財務長官が「預金保険の適用範囲の大幅な拡大は検討していない」との見解を示したことが重しとなった。
 ユーロドルは一時1.0912ドルまで上昇。ラガルドECB総裁の発言を受けて利上げ長期化観測が高まったことや、FOMCを受けて米金利が低下したことが支えとなった。

 本日の東京外国為替市場のドル円は続落が予想される。FOMC声明から「継続的な引き上げ」という文言が削除され、利上げ休止が検討されたこと、イエレン米財務長官が破綻銀行の投資家保護を否定したことが材料視されそうだ。

 FOMCでは、予想通りにFF金利誘導目標が0.25%引き上げられて4.75-5.00%となり、年内あと1回の0.25%の利上げが示唆され、年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)が5.10%(※FF金利誘導目標5.00-25%)との見込みが示された。2024年の予測中央値は、前回12月の4.1%から4.3%へ引き上げられ、同年0.75%の利下げが示されている。

 物価安定のための量的金融引締政策(毎月950億ドルの流動性の吸収)は継続された。しかしながら先週は、金融安定のために連銀窓口貸出(ディスカウント・ウインドウ)や「バンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」による流動性が供給されてバランスシートの縮小に歯止めがかかっており、整合性が取れていない。

 2月の声明文での「継続的な引き上げが適切」が削除され、「幾分かの追加引き締めが適切」との文言が採用され、利上げが近くいったん停止される可能性が示唆された。パウエルFRB議長は会見で「利上げ休止を検討した」ことを明らかにしている。

 16日の欧州中央銀行(ECB)理事会でも、0.50%の利上げが断行されたものの、今後の金利の軌道を示唆する「フォワードガイダンス」が削除されたており、FOMCでも同様の対応がなされたことになる。すなわちECBもFRBともに、金融システムの安定より物価安定に軸足を置きつつも、金融システム悪化によるデータ依存のアプローチに舵を切ったことになる。

 ECBとFRBは、物価安定に関しては「インフレ高進は一時的」と楽観視して見誤り、FRBは昨年3月、ECBは昨年7月に漸く利上げを開始したばかりだ。金融安定に関する楽観的な見立てが正しいのか否か、懐疑的にならざるを得ない。

 CME「フェドウオッチ」によると、23日の7時の時点で、5月と6月のFOMCでは据え置き確率が高いが、7月は利下げ確率が高まってきた。そして、年末のFF金利誘導目標は4.25-50%と示唆されている。
       【フェドウオッチ】   【3月FOMCのドット・プロット】
・5月3日:4.75-5.00%(据え置き)   5.00-25%(+0.25%引き上げ)
・6月14日:4.75-5.00%(据え置き)   5.00-25%(据え置き)
・7月26日:4.50-75%(利下げ)     5.00-25%(据え置き)
・9月20日:4.50-75%(据え置き)    5.00-25%(据え置き)
・12月1日:4.50-75%(据え置き)    5.00-25%(据え置き)
・12月13日:4.25-50%(利下げ)     5.00-25%(据え置き)


(山下)
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