東京為替見通し=ドル円、12月FOMCでの利上げ幅縮小観測から上値が重い展開か

 2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ハト派的なFOMC声明文を受けて145.68円まで下落した後、パウエルFRB議長の会見を受けて147.97円付近まで反発した。米10年債利回りは3.96%台から4.11%台まで上昇した。ユーロドルは、0.9976ドルまで上昇した後、0.9813ドルまで反落した。ユーロ円は145.04円まで下落した。

 本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が休場で閑散取引の中、パウエルFRB議長が12月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅縮小を示唆したことで上値が重い展開が予想される。

 東京市場は休場だが、神田財務官が「24時間、365日」の円買い介入態勢を示唆していることで、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入には要警戒となる。9月と10月の円買い介入の金額は、合計9兆1881億円となっている。本邦通貨当局の介入スタンスは、実需の円買いや円売りを相殺してきているため、現状の円買い介入は、年初来(1-9月)の貿易赤字約14.3兆円、そして年末に向けての貿易赤字約20兆円規模を相殺する可能性があるため、警戒しておきたい。

 FOMCでは、予想通りにフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が0.75%引き上げられて3.75-4.00%となった。声明では、これまでに実施した金融引き締めの累積効果を考慮し、今後の利上げ幅がより小規模なものになる可能性が示唆された。
 パウエルFRB議長は「政策金利の『最終水準』はこれまでの予想よりも高くなる可能性が高い」と指摘しながらも、次回12月の会合で利上げペースを落とし始めることもあり得ると述べた。
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、12月のFOMCでの0.50%利上げ確率は56.8%、0.75%利上げが43.2%となっている。

 昨日は、黒田日銀総裁が衆院財務金融委員会で、将来的に2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になれば、その前段階でイールドカーブコントロールを柔軟化していくことは一つのオプションとしてあり得るとして、修正を検討する考えを示した。そして、円安と円買い介入に関しては、「急激かつ一方的な変動は恐らく投機によるものであり、それに対抗して介入するのはG7やG20でも当然視されている」と述べた。

 10月にワシントンで開催された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、「物価を安定させ、他国への影響を回避するため、金融引き締めペースを適切に調整することで一致した」との文書が公表された。
 その後、豪準備銀行(RBA)理事会、カナダ銀行(BOC)理事会、そして、今回のFOMCで、金融引き締めのペースの減速が示唆されたことで、G20による国際的な利上げペース鈍化が目論まれているのかもしれない。


(山下)
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