NY為替見通し=ドル円、12日発表の米6月CPIへの警戒感から軟調推移か

 本日のNY為替市場のドル円は、12日に発表される米6月消費者物価指数(CPI)への警戒感から上値が重い予想される。

 先週末に発表された米6月の雇用統計では、失業率は5月の3.7%から3.6%へ低下、非農業部門雇用者数は5月の前月比+30.6万人(※下方修正値)から同比+20.9万人まで増加幅が減少、平均時給は上昇していた。そして、米10年債利回りは上昇し、7月25-26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での第11次利上げ(+0.25%=5.25-50%)確率が上昇したものの、ドルは全面安の展開となっている。

 4月と5月の非農業部門雇用者数が11万人下方修正され、先週のウォールストリート・ジャーナル紙や6月のFOMC議事要旨で、非農業部門雇用者数が雇用の伸びを過大評価しているのではないか、との懐疑的な見方が示されたことも、ドルの上値を重くしている。
 非農業部門雇用者数は、「起業・廃業モデル(Birth-Death Model)」により、新たなビジネスが創出する雇用の数を過大評価している可能性が指摘されている。すなわち、ある就業者が、新たに2~3の副業を始めた場合、非農業部門雇用者数は、就業者数を1ではなく、3~4とカウントするため、雇用市場の実勢を反映していないとの指摘である。

 ウォールストリート・ジャーナル紙は、「起業・廃業モデル」の不透明性を理由にして、「労働市場のフェイク?NFPは雇用の伸びを過大評価か」という記事を報じていた。
 6月のFOMC議事要旨でも、一部の参加者が、米労働省の家計調査と国勢調査報告を含む他の雇用指標や連邦準備制度理事会(FRB)スタッフの独自の計算は、「雇用統計が示すより雇用の伸びが弱かった可能性をうかがわせる」と言及したことが示されていた。

 12日に発表される6月米CPIは、前年比+3.0%と予想されており、5月の同比+4.0%からの伸び率鈍化が見込まれている。もし予想通りに伸び率が鈍化していた場合、6月の雇用統計とCPIというデータを基に判断される7月FOMCでは、タカ派的スキップ(見送り)が連続する可能性を高めることになる。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、日足一目均衡表・転換線の143.57円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、6月22日の安値の141.61円。


(山下)
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