東京為替見通し=メインイベントはRBNZの政策発表、米債務上限の問題も注視

 昨日の海外市場でドル円は138円台で上下。米長期金利の上昇を背景に一時138.91円と約半年ぶりの高値を更新したが、長期金利の低下とともに伸び悩んだ。ユーロドルは1.08ドル前半から1.0760ドルまで下落。米連邦準備理事会(FRB)高官のタカ派発言を受けてドル買いが進んだ。欧米株安が嫌気されユーロ円は149円前半まで弱含んだ。

 本日の東京為替市場では、先行き不透明感が残ったままの米債務上限問題に関する報道に気をつけながら、メインイベントであるニュージーランド準備銀行(RBNZ)の金融政策発表を見極めることになる。

 債務上限引き上げを巡るバイデン米大統領と共和党・マッカッシー下院議長との協議は、それぞれ生産的/建設的だったとの感想は聞かれたものの目立った進展は見られなかった。イエレン財務長官が警告する「財務省が現金を使い果たす可能性があるという6月1日」が近づく中、一部米メディアは財務省が各機関に支払いを遅らせることができるか確認していると報じた。

 依然として市場では「いずれにせよ決着」との見方は多いものの、満期1年以内の米財務省短期証券(TB)市場ではデフォルト(債務不履行)への警戒感が増しているようだ。1週間物TB(今月満期)は3%を下回るなか、4週間物TBは5.4%台、2週間物TBに至っては5.8%を上回った。その影響は中期債にも波及しており、為替市場も暫くは短いところの米金利に注視する必要があるだろう。

 日本時間11時にRBNZが公表する政策金利は、現行5.25%から5.50%に引き上げが大方の市場予想だ。前回4月5日の会合では0.50ポイントの利上げと予想0.25ポイントから拡大し市場を驚かせた。会合後から現在まで明らかにされたNZ指標を確認すると1-3月期消費者物価指数(CPI)は前年比6.7%と水準としては高いものの前四半期から0.4ポイント鈍化し、先週発表された同期卸売物価指数(PPI)も減速が確認された。雇用データは強かったものの、本日に関しては市場の見込み通りの金利発表になるのではないか。

 注目は声明内容。次回7月の会合に向けて引き締めスタンスを変えてくるのかがポイントとなりそうだ。NZドルは当然ながら神経質な動きが予想され、声明の受け止め方次第で右往左往しそうだ。足もとでNZドルはやや上値の重い動き。先週から週初にかけて底堅く推移していたものの、昨日は軟調な株式市場を眺めてリスク回避の売り戻しが優勢となった。

 難しいのが豪ドルの方向性か。RBNZの金利発表直後はNZドルに追随するのだろうが、豪準備銀行(RBA)との先行き政策の差がもし意識されるようであれば、豪ドル/NZドルの動きが主となる可能性も高い。

(小針)
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