東京為替見通し=ドル円、下値の堅さは継続か 米金利の高止まりが支えに

 昨日のニューヨーク市場でドル円は米長期金利上昇に支えられて138.60円台まで強含み。「米国防総省近くで大規模爆発が起こった」との虚偽ニュースでの下げも限定された。クロス円も全般しっかりした値動きとなり、ユーロ円が149.92円、ポンド円は172円半ば、豪ドル円が92.20円台まで上昇した。ユーロドルは1.08ドル割れでは下げ渋った。

 本日の東京為替市場でドル円は、米債務上限問題を巡る先行き不透明感はあるものの、昨日からの下値の堅さは継続か。イエレン米財務長官が6月1日にも政府の資金繰りが行き詰まると再び警告するなか、日本時間6時30分からバイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長が債務上限の引き上げを関して再び会談。事前の報道では、歳出削減規模や期間、そして具体的な削減策を話し合うもよう。

 マッカーシー下院議長によれば、トップ協議に先立ち行われた交渉担当者の話し合いは建設的だったということだ。下院議長は「デフォルト(債務不履行)回避のためには今週中に合意しなくてはならない」と述べ、今夜や明日にも成立は可能と前向きな発言をしている。バイデン大統領も21日、「1兆ドル以上の歳出削減計画を提示した」とツイートし、政府サイドの譲歩姿勢を示した。

 問題は、共和党の保守強硬派がマッカーシー下院議長に対し安易に歩み寄らないよう圧力をかけていること。党内基盤の脆弱さが下院議長にとってはウィークポイントになっている。もっとも、交渉停滞報道が伝わった先週末でさえもドル円は137円半ばまでの下落だったことを考えると、本日も米債務上限問題の関連報道で右往左往しながらも下値の堅さを確認するに留まるのではないか。

 米金利の高止まりもドル円の下値を支える要因。昨日は米連邦準備理事会(FRB)高官から、タカ派・ハト派の両サイドの発言が伝わった。ブラード米セントルイス連銀総裁は「今年あと2回の利上げを予想」と述べた一方、ボスティック米アトランタ連銀総裁は6月会合で据え置き支持の姿勢を示した。その他複数のFRB高官もデータ次第というスタンスが多い。しかしながら市場はタカ派なコメントに反応しやすく、依然として年末までの利下げを見込んでいる短期金融市場も迷いが出つつあるように見える。

 なお米株主要指数はまちまちだったものの、日経平均先物は堅調さが継続された。際立つ日本株の強さがまだしばらくクロス円の支えになりそうだ。

(小針)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。