東京為替見通し=ドル円、米4月CPI+4.9%や明日の債務上限協議懸念で軟調推移か

 10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、4月米消費者物価指数(CPI)が前年比+4.9%と2年ぶりの低水準を記録したことで134.11円まで下落した。ユーロドルは1.0942ドルから1.1007ドルまで上昇した。ユーロ円は欧米株価指数の下落を受けたリスク回避の円買いで147.04円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米国4月のCPIが前年比+4.9%だったことや明日予定されている米国債務上限引き上げを巡る協議への警戒感から軟調推移が予想される。

 8時50分に公表される日銀金融政策決定会合における主な意見(4月27-28日分)では、フォワードガイダンスの撤廃や金融政策運営の検証に関して精査することになる。
 植田日銀総裁にとっての初めての金融政策決定会合は、金融政策の現状維持が決定され、政策金利についてのフォワードガイダンスが削除され、1998 年の新日銀法施行以降の金融政策運営を「1年から1年半程度の時間をかけて、多角的にレビュー」することが決定された。植田日銀総裁は、会見で、レビュー期間中の金融政策の変更の可能性に言及しており、主な意見では、変更の条件などのヒントを見極めることになる。

 米国4月のCPIは、前年比+4.9%と発表され、3月の前年比+5.0%から伸び率が低下した。CPIは、昨年6月の前年比+9.1%をピークにして伸び率が鈍化傾向にある。米連邦準備理事会(FRB)のインフレ指標は、PCE総合価格指数なので、5月26日の発表を待つことになる。しかし、FF金利誘導目標の下限5.00%が、CPIの前年比+4.9%を上回っているため、追加利上げの可能性が低下したことになる。すなわち、FRBは、これまでの10回に及ぶ利上げ路線から、FF金利誘導目標5.00-25%の高金利維持路線によりインフレを抑制する政策に変わった可能性が高まったことで、ドルの上値を抑える要因となる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、6月と7月FOMCでは政策金利据え置きの確率が高いものの、9月と11月では0.25%の利下げ確率が高まり、12月FOMCでは、FF金利誘導目標が4.25-50%へ引き下げられる確率が高まっている。

 米国の債務上限引き上げ期限とされる6月1日の「Xデイ」に向けて、9日のバイデン米大統領と議会指導者達との協議が不調に終わったことで、明日12日にも再び会談が予定されている。そして、バイデン米大統領は、公的債務に関する合衆国憲法修正第14条の発動を検討していることを明らかにした。2011年のオバマ第44代米大統領とホワイトハウス、そして現在のホワイトハウスの政権当局者は、合衆国憲法修正第14条は、法廷闘争を乗り切る可能性の低い最後の策として却下しており、バイデン米大統領のブラフに過ぎないのかもしれない。


(山下)
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