東京為替見通し=ドル円は日銀の利上げパス、豪ドルはRBA金融政策に要注目か
18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、日経新聞電子版の報道「日銀はマイナス金利解除のほか、YCC撤廃とETF購入終了を決定へ」で一時148.92円付近まで下押ししたものの、米10年債利回りが4.3461%前後まで上昇したことで下値は限定的だった。ユーロドルは米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いで1.0866ドルまで下落。ユーロ円は、ユーロドルの下落につれて161.95円まで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合での利上げパスに注目する展開となる。
本日発表される日銀金融政策決定会合の結果のメインシナリオは、植田日銀総裁の発言「金融政策運営の不連続性の回避」と「緩和的な金融環境の維持」に示唆される以下の変更が織り込み済みとなっており、ドル円は150円方向への上昇基調が予想される。
ドル円が150円台に乗せた場合は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
・マイナス金利(▲0.10%)が解除され、短期金利の誘導目標が0.00-10%へ引き上げられる
・当座預金の3層構造(マイナス0.1%、0%、プラス0.1%の付利)が撤廃され、超過準備金全てに付利0.1%を一律適用する1層構造へ変更される
・長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)が撤廃される
・オーバーシュート型コミットメント「マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する」により、当分の間は国債の購入は継続される
(※購入額のフレームワークには要注目となる)
・上場投資信託(ETF)の新規購入は停止
サプライズとなるリスクシナリオは、植田日銀総裁の先日の発言「デフレではなくインフレの状態」に示唆されるように、将来的な量的縮小や追加利上げについて言及された場合となる。ドル円は145円方向に向けた下落トレンドが再開するのかもしれない。
このリスクシナリオの背景としては以下の要因が挙げられる。
・春闘の第1回回答集計での平均賃上げ率が、33年ぶりの高水準となる5.28%を記録したことで、植田日銀総裁が目指していた「賃金の上昇を伴う形」での2%の物価目標を安定的に達成できる確度が高まりつつあること
・2月のコア消費者物価指数は、エネルギーの激変緩和措置のベース効果により前年比+2.8%程度まで上昇すると予想されていること
・4月からの運送・物流業界の規制強化の影響で賃金・手当の引き上げの可能性
・6月に予定されている1人当たり4万円の定額減税
12時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の政策金利は、3会合連続での4.35%での据え置きが見込まれている。前回の声明文では「追加利上げの可能性を排除できない」とのタカ派的なスタンスが示された、しかし、豪の物価関連の指標は、10-12月期四半期賃金指数は伸び率が鈍化、1月消費者物価指数(CPI)の伸びは前月から横ばいと、2年ぶりの低水準だった。市場では「RBAの利上げサイクルはすでに終了した。利下げが前倒しされる可能性がある」と警戒されており、タカ派的トーンを維持するのか、今後数カ月先の転換の可能性を示唆するのか要注目か。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合での利上げパスに注目する展開となる。
本日発表される日銀金融政策決定会合の結果のメインシナリオは、植田日銀総裁の発言「金融政策運営の不連続性の回避」と「緩和的な金融環境の維持」に示唆される以下の変更が織り込み済みとなっており、ドル円は150円方向への上昇基調が予想される。
ドル円が150円台に乗せた場合は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
・マイナス金利(▲0.10%)が解除され、短期金利の誘導目標が0.00-10%へ引き上げられる
・当座預金の3層構造(マイナス0.1%、0%、プラス0.1%の付利)が撤廃され、超過準備金全てに付利0.1%を一律適用する1層構造へ変更される
・長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)が撤廃される
・オーバーシュート型コミットメント「マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する」により、当分の間は国債の購入は継続される
(※購入額のフレームワークには要注目となる)
・上場投資信託(ETF)の新規購入は停止
サプライズとなるリスクシナリオは、植田日銀総裁の先日の発言「デフレではなくインフレの状態」に示唆されるように、将来的な量的縮小や追加利上げについて言及された場合となる。ドル円は145円方向に向けた下落トレンドが再開するのかもしれない。
このリスクシナリオの背景としては以下の要因が挙げられる。
・春闘の第1回回答集計での平均賃上げ率が、33年ぶりの高水準となる5.28%を記録したことで、植田日銀総裁が目指していた「賃金の上昇を伴う形」での2%の物価目標を安定的に達成できる確度が高まりつつあること
・2月のコア消費者物価指数は、エネルギーの激変緩和措置のベース効果により前年比+2.8%程度まで上昇すると予想されていること
・4月からの運送・物流業界の規制強化の影響で賃金・手当の引き上げの可能性
・6月に予定されている1人当たり4万円の定額減税
12時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の政策金利は、3会合連続での4.35%での据え置きが見込まれている。前回の声明文では「追加利上げの可能性を排除できない」とのタカ派的なスタンスが示された、しかし、豪の物価関連の指標は、10-12月期四半期賃金指数は伸び率が鈍化、1月消費者物価指数(CPI)の伸びは前月から横ばいと、2年ぶりの低水準だった。市場では「RBAの利上げサイクルはすでに終了した。利下げが前倒しされる可能性がある」と警戒されており、タカ派的トーンを維持するのか、今後数カ月先の転換の可能性を示唆するのか要注目か。
(山下)