株式明日の戦略-週間では小動きも上値の重さを意識、来週は米CPIが大きな注目を集める

 10日の日経平均は3日ぶり反発。終値は155円高の38229円。米国株の強い上昇を受けて、寄り付きから大幅高。38300円台からスタートして、早い時間に38700円台まで水準を切り上げた。しかし、600円超上昇したところで買いが一巡すると、10時以降は値を消す流れとなった。後場に入ると一時上げ幅を2桁に縮小。マイナス圏入りは回避しており、終盤にかけては盛り返して3桁高で終えたものの、ローソク足では上に長いヒゲをつけた陰線を形成した。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆3100億円。SQ日で商いは膨らんだ。業種別では海運、石油・石炭、金属製品などが上昇した一方、パルプ・紙、輸送用機器、その他金融などが下落した。前期の計画上振れ着地や今期の増収増益計画が好感された東洋水産<2875.T>が後場急騰。半面、今期の減益見通しが嫌気された日本電信電話(NTT)<9432.T>が後場マイナス転換から下げ幅を広げた。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり902/値下がり701。決算が好感されたダイキン工業が、全市場の売買代金3位となる大商いで8%を超える上昇。上方修正や優待内容の変更を発表したF&LCが急伸した。今期の営業利益が前期比倍増の見込みとなったツムラがストップ高。神戸鋼、SUMCO、メルカリが決算を材料に大幅高となった。ほか、川崎汽船や日本郵船など海運大手が大きく上昇した。

 一方、決算が失望を誘ったSCREENが12.2%安。東京エレクトロン、ディスコ、レーザーテックなど半導体株が全般軟調となった。日産自動車が決算を受けて大きく下げており、トヨタ、ホンダ、マツダなど自動車株には下落銘柄が多かった。決算が市場の期待に届かなかったパナソニックが年初来安値を更新。今期の減益計画がネガティブサプライズとなった西武HDが急落した。

 日経平均は上昇したものの、テクニカルに注目する投資家をあざ笑うかのように、25日線(38558円、10日時点、以下同じ)を上回ったところで頭打ちとなり、終値(38229円)では75日線(38453円)や5日線(38315円)を下回った。一方、これらを下回ったところで売りが加速しているわけではなく、3つの移動平均線付近での一進一退が続いている。煮詰まった状態で来週に米消費者物価指数(CPI)を消化するだけに、大幅高か大幅安か極端な動きが出てくる可能性がある。株高ラリー突入か再び調整色を強めるか、向こう数カ月の方向性を占う週になるとみておいた方が良い。


【来週の見通し】
 波乱含みか。15日に米国で発表される4月消費者物価指数(CPI)が注目を集める。市場予想を下回る結果となれば米国の早期利下げ期待が高まり、米国株の堅調継続が見込まれる。一方、市場予想を上回り、米国の長期金利が上昇するようだと、米国株は足元の動きが良い分、失望の反応が大きくなるだろう。日本株を見る上ではドル円の動向にも注意を払う必要がある。米長期金利が低下しても、それに伴いドル安(円高)が急速に進行した場合には、日本株の上値を抑える要因となる。米長期金利が上昇すればその逆となるが、足元155円近辺で推移しているドル円がここからさらにドル高(円安)に振れた場合には、為替介入への警戒が再燃する。米国ではCPIだけでなく、卸売物価指数(PPI)や小売売上高の発表もある。また、16日には半導体大手のアプライド・マテリアルズが決算を発表予定。国内ではソフトバンクG、ソニーG、三菱UFJなど注目度の高い企業の決算発表が多くある。しかし、来週は米国の材料の方がクローズアップされて、米長期金利やドル円動向に神経質となる状態が続くと予想する。
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