株式明日の戦略-米金利低下を好感して大幅高、半導体株の動向に要注目

 16日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は534円高の38920円。15日の米国では、4月の消費者物価指数や小売売上高が市場予想を下回り、長期金利が大きく低下。主要3指数はそろって史上最高値を更新した。この流れを受けて200円超上昇して始まり、開始早々には上げ幅を500円超に拡大。ただ、米金利の低下やこれを受けた円高進行を嫌って下落する銘柄も多かったことから、38900円手前でいったん大きく値を消した。

 しかし、38500円近辺で踏みとどまると、盛り返して後場は改めて買いの勢いが強まる展開。米金利低下を受けて動きが良くなった半導体株が一段と騰勢を強めた。プライムでは値下がり銘柄の方が多い状態が継続したものの、指数は終盤にかけて上げ幅を500円超に広げて38900円台に到達。高値圏で取引を終了した。前引けでは小幅に下落していたTOPIXも終盤に強含んでプラスで終了。グロース250指数は前引けからは戻したものの、1%を超える下落となった。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆0600億円。業種別ではサービス、証券・商品先物、その他製品などが上昇した一方、パルプ・紙、石油・石炭、鉄鋼などが下落した。自己株取得や増配の発表などが好感されたクレディセゾン<8253.T>が急騰。半面、特定取引先との交渉の遅れに伴い、中期経営計画の開示を延期すると発表したヤマシンフィルタ<6240.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり607/値下がり994。米長期金利の低下を受けて大型グロース株に資金が向かっており、東京エレクトロンやディスコなど半導体株が大幅上昇。ソフトバンクGや任天堂などの動きも良かった。サービス系グロース株の代表格であるリクルートHDは、自身の決算も好感されて9%を超える上昇。ニッパツや三菱化工機が決算を材料に値を飛ばし、配当方針を変更して今期の大幅増配計画を提示したスターティアHDが一時ストップ高となるなど急騰した。

 一方、米金利低下で為替は円高(ドル安)に振れたことから、マツダ、日産自動車、スズキなど自動車株が大幅安。金融株も金利低下で売られているものが多く、自身の決算や自己株取得の内容が物足りないと受け止められた三菱UFJが4%を超える下落となった。売買代金は全市場でトップと、値幅が出る中で商いも膨らんだ。広済堂HDやイーギャランティが決算を受けて急落。1Qが大幅減益となった西本Wismettacが場中に値が付かずストップ安比例配分となった。

 日経平均は3日続伸。値下がり銘柄が多い中、高く始まった後に値を消すというのはきのうと似た流れであったが、きのうは後場に一段と上げ幅を縮めた一方、きょうは終盤に高値をつけた。米国の長期金利が大きく低下したことは、グローバル株式市場にとってポジティブ。米金利が低下したことで海外投資家好みの大型グロース株に買いが入り、日経平均にも好影響を及ぼしたと考えられる。

 物価指標と小売指標を確認して米国の10年債利回りが4.3%台まで低下したことから、目先は米金利は上がりづらくなると思われる。その副産物として、ドル円も円安(ドル高)には振れづらくなるだろう。足元では日銀・政府が介入を行ったとしても円安を止めるのは難しいとの見方が広がっていたが、米国の金利が低下するのであれば、話は変わってくる。短期的にはここまでの強烈な円安に対する巻き戻しで円高が進むシナリオも想定しておいた方が良い。きょうは自動車株の弱さが目立ったが、目先は敬遠されるセクターになるかもしれない。米金利の上昇を心配しなくてよい局面で選好されやすい筆頭が半導体株となる。米国では本日アプライド・マテリアルズ、来週22日にはエヌビディアが決算発表を予定している。東京エレクトロン<8035.T>など主力どころに加えて、中堅製造装置や半導体材料など、関連銘柄に幅広く目配せしておきたい。
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