ロンドン為替見通し=欧州議会選挙での右傾化と2名のECB高官のタカ派的な見解に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、先週の欧州中央銀行(ECB)理事会でのタカ派的な利下げを受けて、タカ派のナーゲル独連銀総裁とホルツマン・オーストリア中銀総裁の講演に注目する展開が予想される。

 また、欧州議会選挙では中道政党が多数派を維持する見通しだが、フランスでは極右政党「国民連合」が大きな支持を得たことで、マクロン仏大統領は議会を解散し、早期の選挙を提案しており、ユーロ売り要因となっている。また、ドイツでも極右派が躍進しており、ユーロ圏の統合に向けた機運後退との警戒感がユーロ売り圧力を強めつつある。
 本日は関連ヘッドラインに警戒しておきたい。

 6日のECB理事会では、3つの主要政策金利をいずれも0.25%引き下げることが決定されたものの、「経済見通し」では、成長率とインフレの今年の見通しが引き上げられ、声明文に「特定の政策金利経路については約束しない」との文言が追加されたこともあり、タカ派的な利下げと受け止められた。

 ナーゲル独連銀総裁は先週、「利下げはしたがECBは自動運転モードにはなく、なお引き締め的だ」と述べており、本日も追加利下げに慎重なタカ派的な見解が予想される。
 ホルツマン・オーストリア中銀総裁は、「データ主導の決定はデータ次第であるべきだ」との見解から、唯一利下げに反対票を投じており、本日もタカ派的な見解が予想される。

 しかし、ユーロドルは、両者によるタカ派的な見解にも関わらず、米長期債利回りが上昇基調にあることや、11-12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派的なドット・プロット(金利予測分布図)が警戒されていることで、上値は限定的だと思われる。

想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0841ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:170.28円(6/6高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0650ドル(5/1安値)
・ユーロ円:167.63円(日足一目均衡表・基準線)


(山下)
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