ロンドン為替見通し=日欧・金融当局者の発言にまず注目、欧州リスクには依然警戒

 本日のロンドン為替市場では、序盤となる日本時間15時30分から始まる植田・日銀総裁の定例記者会見の質疑応答にまずは注目。同総裁の発言内容次第では、円相場は右往左往させられそうだ。クロス円の動きが、欧州通貨の対ドル動向にも影響するだろう。

 これまで植田総裁は、金融正常化を進めるにしてもかなり慎重な姿勢を示していた。現状では総裁が一気にタカ派に傾くとは思えず、あくまで控えめな引き締め度合いが確認されるだけかもしれない。なお本日発表された日銀会合では、予想通り政策金利の維持が決定された。注目された国債買入れ減額については、次回の会合で今後1-2年程度の具体的な減額計画を決定するとされた。

 欧州金融当局者からは本日、バスレ・スロベニア中銀総裁の講演が前半に予定されている。ただそれよりも、欧州中央銀行(ECB)チーフ・エコノミストでもあるレーン専務理事の発言が注目される。レーン氏は週前半、インフレ圧力の根強さに言及した。ECBの追加利下げについて、不確実性が後退するまで待つべきとの見解を示している。

 昨日軟調だった欧州株も気にする必要だろう。フランス下院選の投票(1回目)を今月末に控えて同国の政界が混乱し、経済界にも不安が広がっている。欧州政局で株が暴落するとは考えづらいが、リスクセンチメントの強弱は見定めておきたい。

 また、西側とロシアの対立激化にも要注意か。イタリアで開かれているG7サミットでは、欧米が凍結した露資産を活用してウクライナ支援の強化が打ち出された。ロシアの反発は必至であり、地政学リスクの警戒感高まりを受け、ユーロスイスフランは約2カ月ぶりとなる0.95フラン台までユーロ安フラン高が進行した。


想定レンジ上限
・ユーロ円、昨日高値170.14円
・ユーロドル、昨日高値1.0816ドル

想定レンジ下限
・ユーロ円、5月16日安値167.33円
・ユーロドル、5月1日安値1.0650ドル

(小針)
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