東京為替見通し=4/29の東京休場時の円買い介入の再現に要警戒か

 12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、6月米卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったことで159.15円付近まで上昇した後、本邦通貨当局による円買い介入の思惑から157.38円まで下落した。ユーロドルは、米10年債利回りが4.17%台まで低下したことなどで、1.0911ドルまで上値を伸ばした。ユーロ円は171.47円まで下落した。

 本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が休場のため動きづらい展開が予想されるものの、4月29日の東京市場休場の日にドル売り・円買い介入が実施されたことで、本邦通貨当局によるユーロ売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。

 先週木曜日のニューヨーク市場では、米6月消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、米10年債利回りが直後に4.17%台まで急低下し、ドル円は161円台半ばから157.44円まで急落し、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感が高まり、金曜日も円買い介入の思惑で157.38円まで下落している。

 金曜日の新聞報道では、本邦通貨当局が為替介入の準備のために市場参加者に相場水準を尋ねる「レートチェック」を対ユーロで実施したことが関係者の話で分かった。具体的な為替取引の水準を照会することで、円買い為替介入に備える動きとされる。

 また、12日に公表された16日の日銀当座預金見通しでは、木曜日のドル円急落の際に、本邦通貨当局が約3.5兆円の円買い介入を実施した可能性が示唆されている。

 ドル売り・円買い介入に関しては、イエレン米財務長官が不快感を示しているため、ユーロ導入以来の高値圏に到達しているユーロ売り・円買い介入を実施することで、円安を抑制する意図なのかもしれない。
 本邦通貨当局は、2000年10月のユーロ危機の時、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)と協調してユーロ買い介入に乗り出しており、約1兆565億円相当のユーロの残高が外貨準備に残されている。

 11時に発表される4-6月期中国国内総生産(GDP)は、前期比+1.1%、前年比+5.1%と予想されており、3四半期ぶりの低い成長率となることが見込まれている。中国共産党は第20期中央委員会第3回総会(3中総会)を本日15日から18日にかけて開催するが、経済運営を巡り党指導部に対する圧力が強まることが予想されている。
 1-6月(上期)の成長率は5.2%となることになり、政府の年間成長率目標である5%前後は維持することになる。中国国家統計局はGDPの発表に関して統計局のホームページ上で公表するが定例の記者会見は実施しない、と表明している。

(山下)
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