週間為替展望(ドル/ユーロ)-日銀会合への警戒感一段と高まる

◆円、日銀の金融政策発表に注目
◆ドル、FOMC以外にも米重要指標が目白押し
◆ユーロ、最新のインフレ指標に注目

予想レンジ
ドル円   149.50-157.00円
ユーロドル 1.0650-1.1000ドル

7月29日週の展望
 ドル円は、日本と米国の金融政策発表を控えて荒い値動きとなることが想定される。特に注目されるのが30-31日の日銀金融政策決定会合。17日には河野デジタル相が「円安是正のため、日銀に利上げするように要求したと発言した」と伝わったことがきっかけとなり、日銀の早期利上げ観測が急速に高まった。河野氏はその後「日銀に直接利上げを求めたわけではない」と火消しに走ったものの、思惑は拭えないまま。さらには、茂木自民党幹事長が「金融政策を正常化させる方向性を明確にすべきだ」と異例の発言。これにより、日本の金融政策が転換期を迎えたとの見方から海外ヘッジファンドを中心にこれまで積み上げてきた円キャリートレードを巻き戻す動きが活発化している。

 日銀が実際に来週の会合で利上げを決定した場合、円相場の行方は植田日銀総裁の記者会見での発言次第になるだろう。今後も積極的に正常化へ向けた姿勢を示せばドル円の一段安が見込まれる一方で、利上げに慎重な態度を見せれば一転して反発もあり得る。また、仮に利上げが見送られた場合には、すでに今週、利上げを織り込む動きを急速に見せていることもあり、ドル円が一転して急騰する可能性も考慮しておきたい。いずれにしても、日銀会合後は円相場が荒い値動きとなることは確実だろう。

 また、米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが予想されている。次回9月会合では利下げが完全に織り込まれており、今回の声明ではハト派色の強い内容となることが想定される。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が記者会見で次回の利下げについて示唆するかどうかが注目となりそうだ。なお、FOMCの他にも米国では、30日に6月JOLTS求人件数や7月消費者信頼感指数、31日に7月ADP雇用統計、8月1日に7月ISM製造業景況指数、8月2日には7月雇用統計など、重要指標が目白押しとなっている。

 ユーロドルは、ドル相場に振らされながらも7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値に注目したい。先日の欧州中央銀行(ECB)理事会では「金融政策は今後のデータ次第」が強調されたため、最新のインフレ指標で手掛かりを見出したいところ。ただ、来週は重要な米指標が相次いで発表されるため、基本的にはドルの動きが大きく影響を与えそうだ。

7月22日週の回顧
 ドル円は日銀の早期利上げ観測の高まりを背景に週明けから円が全面高の展開となり、週後半には一時151.94円と5月3日以来の安値まで売り込まれた。一方、急ピッチで下げた反動から一巡後は154円台まで反発している。

 ユーロドルは世界的な株安を受けてリスクオフムードが高まるなか一時1.0826ドルまで下げたが、円相場が主導したため大きな方向感は出なかった。
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