株式明日の戦略-月初から日本株が総崩れ、あすも為替に神経質な展開か

 8月に入り1日の日経平均は4日ぶり大幅反落。終値は975円安の38126円。7月31日の米国市場ではFOMCを通過して主要3指数が上昇し、特にナスダックが強い動きを見せた。しかし、ドル円が150円を割り込むなど為替が円高に振れたことが日本株には強い逆風となった。前日引け後の植田日銀総裁の発言がタカ派寄りと受け止められた上に、ハト派色の強いFOMCを受けて米長期金利が急低下したことも円高に勢いをつけた。

 米国株高を好感できず、寄り付きから300円を超える下落。決算が好感された銘柄以外はほぼ総売り状態かつ、主力銘柄の多くが大きな下げとなる中、前場のうちに下げ幅を4桁に広げた。一時は下げ幅を1300円超に拡大。38000円を割り込み、37700円台まで水準を切り下げた。下押し圧力が強かった前場に対して後場の動きは落ち着いたが、押し目を拾う動きは限定的。38000円は上回り、4桁安は回避したものの、900円を超える下落となった。

 東証プライムの売買代金は概算で6兆0800億円と、大きな動きが出る中で商いは膨らんだ。業種別では全業種が下落。銀行、海運、空運などが相対的に値を保った一方、不動産、輸送用機器、保険などの下げが大きかった。上方修正を発表したエンプラス<6961.T>がストップ高。反面、後場に決算を発表したトヨタ<7203.T>はサプライズに乏しい内容と受け止められて8%を超える下落となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり97/値下がり1541。上方修正を発表したアドバンテストが全市場の売買代金トップとなって13.8%高と急騰。決算が好感された日立やソシオネクストが大幅高となり、住友ファーマやTOTOが派手に上昇した。日銀のさらなる利上げに対する期待から、楽天銀行や西日本FGなど銀行株には強く買われるものも散見された。円高が追い風となるニトリHDが逆行高となった。

 一方、傘下アームの決算が失望を誘ったソフトバンクGが6.6%安。レーザーテック、SCREEN、ディスコなど半導体の下げが大きかった。円高進行を受けてトヨタの他にもホンダやマツダなど自動車株が大幅安。日銀のタカ派姿勢が警戒されて三井不動産や三菱地所など不動産株が軒並み安となった。銀行株には買いが入った一方で、東京海上、SOMPO、MS&ADなど保険株は弱さが目立った。

 日経平均は円高を嫌気して大幅安。あすの米国では7月の雇用統計が発表される。為替を刺激しやすい指標であるだけに、この結果を見極めるまでは腰の入った買いは期待しづらい。ただ、きょうはさすがに下げ過ぎの感もあり、円高の負の側面だけがクローズアップされたような売られ方でもあった。日本株が5月末や6月中旬に押した際には、日経平均は38000円、TOPIXは2700p近辺で切り返している。1日の終値は日経平均が38126円、TOPIXが2703pで、まさに今が踏ん張りどころ。あすも為替にらみで不安定な地合いにはなりそうだが、大崩れを回避して売り一巡感が出てくるかに注目したい。
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